◇SH2401◇インドネシア:インドネシアにおけるライセンス契約の登録手続(2) 小林亜維子(2019/03/14)

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インドネシア:インドネシアにおけるライセンス契約の登録手続(2)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 小 林 亜維子

 

 本稿では前回に引き続きインドネシアにおけるライセンス契約の登録手続について概説する。

 

3. ライセンス契約の登録手続

 ライセンス契約の登録申請は、ライセンサー又はライセンシーのいずれも行うことができる。なお、ライセンサー又はライセンシーがインドネシア国外に居住している場合、又は外国人である場合には、インドネシアで登録している代理人(知的財産権コンサルタント)を使ってライセンス契約の登録を行う必要がある点については、2016年規則から変更はない。

 新政令が規定するライセンス契約の登録の申請書と併せて提出する添付書類は、①ライセンス契約の写し、②公式な知的財産権の証明書の抜粋又は著作権及びその関連する権利の場合は保有することの証拠、③委任状の原本、並びに④費用支払いの受領書である。2016年規則では、これらに加え、上記で述べた宣誓書を要求しており、かかる宣誓書については今後も要求されるものと考えられる。

 申請書及び添付書類が知的財産権総局に提出された後、知的財産権総局は、提出物が要件を満たしているかどうかの審査を行うことになるが、全ての書類が提出されたとする日から5営業日以内にその審査を完了しなければならず、提出物が要件を満たしていることが確認できた日から2営業日以内に当該ライセンス契約が登録されたことを申請者に通知する。ライセンス契約が登録された事実は公表されることになるが、ライセンス契約の内容が公表されることはない。また、誰でも当該ライセンス契約が登録されたことを示す書類の抜粋を請求することができる。手続に要する日数については2016年規則から変更があり、新政令の規定が優先されるものと考えられる。

 

4. ライセンス契約登録の有効期間

 新政令は、ライセンス契約の登録の有効期間は、当該ライセンス契約の期間と同一としている。これに対して、2016年規則は、登録から5年としているところ、新政令が優先するものと考えられ、今後はライセンス契約の有効期間であれば登録は有効とされるものと考えられる。

 

5. ライセンス契約の変更

 ライセンス契約を変更する際の手続について2016年規則は規定をしていない。これに対して新政令は、ライセンス契約の変更について二つの場合を規定している。まず、当事者の名前又はライセンス契約の対象となる権利に変更があった場合である。この場合、ライセンサー又はライセンシーのいずれかが新たにライセンス契約の登録のための申請書を提出しなければならない。次に、先に述べた以外の変更の場合(当事者の住所、サブライセンスを含む独占的又は非独占的契約に関する規定、契約期間、ライセンス契約が適用される地域及びライセンスが無効となる場合の規定などの変更をいう。)、ライセンシーが、変更について知的財産権総局に通知をする必要がある。

 

6. 結語

 以上のとおり、ライセンス契約の登録について若干の修正及び新たな規定を追加した新政令が制定された。より具体的な規定が含まれていることから、今後、より明確な基準に基づいてライセンス契約を登録することが可能となり、円滑な登録手続が期待できる。他方で、新政令と2016年規則との関係性について、知的財産権総局が実務上十分に検討しているかについては、今後の運用を注視していく必要がある。

 

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