◇SH2501◇監査役協会、「『企業内容等の開示に関する内閣府令』における『監査役監査の状況』の記載について」を公表(2019/04/23)

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監査役協会、「『企業内容等の開示に関する内閣府令』における『監査役監査の状況』の記載について」を公表

――内閣府令の「記載上の注意」に対応した記載事項を示す――

 

 日本監査役協会は4月16日、「『企業内容等の開示に関する内閣府令』における『監査役監査の状況』の記載について」を公表した。

 「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下「内閣府令」)については、金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」が2018年6月に行った報告書(以下「DWG報告」)を受け、今年1月31日に改正が行われたところである(後掲の別稿参照)。この内閣府令の改正では、開示の充実に向け様々な改正が行われているが、有価証券報告書等で提供される情報の信頼性・適時性の確保の観点から、監査役の実務に関係する改正も行われており、

  1.   監査役会等の具体的な活動状況
  2.   監査法人の継続監査期間
  3.   ネットワークファームに支払う監査業務と非監査業務に区分した監査報酬等

の開示が求められている。

 これら監査役の実務に関係する改正のうち、「監査役会等の具体的な活動状況」については、有価証券届出書の様式である第二号様式の第4の4「コーポレート・ガバナンスの状況等」の(3)「監査の状況」において、これまで記載が求められていた「監査役監査の組織、人員及び手続」に加え、「監査役及び監査役会の活動状況」の記載が新たに求められるようになった。

 そこで監査役協会では、「監査役監査の組織、人員及び手続」(「記載上の注意」(56)a(a))及び「監査役及び監査役会の活動状況」(「記載上の注意」(56)a(b))の記載について参考となるように、今般、下記の「資料」を取りまとめたものである。

 今回の「資料」と他の開示との関係について、監査役協会では、「監査役監査の状況は、有価証券報告書等だけに限らず、事業報告及びコーポレート・ガバナンス報告書等にも記載されるだけでなく、監査役の監査報告においても当該事業年度の監査活動に触れている。記載内容の重複を避けるため、例えば有価証券報告書等における記載は内閣府令で明示された事項を簡潔に記載した上で、詳細な内容の記載については別の書類に委ねることとすることも考えられるが、DWG報告(中略)の考え方を踏まえ、それぞれの書類における記載をどのように整理するかについては、今後の課題となろう」としている。

 なお、今回の改正のうち、「監査役監査の組織、人員及び手続」の記載については、2019年3月31日以後に終了する事業年度においても適用され、「監査役及び監査役会の活動状況」については、2020年3月31日以後に終了する事業年度から適用されるが、2019年3 月31日以後に終了する事業年度から早期適用できるとされている。

 

「『企業内容等の開示に関する内閣府令』における『監査役監査の状況』の記載について」の「資料」部分

【内閣府令の規定(記載上の注意)(56)a(a)】

 監査役監査の組織、人員(財務及び会計に関する相当程度の知見を有する監査役、監査等委員又は監査委員が含まれる場合には、その内容を含む。)及び手続について、具体的に、かつ、分かりやすく記載すること。

【記載が考えられる事項】

(組織・人員・手続)

1.機関設計の形態、総員数

2.常勤/非常勤、社内/社外ごとの員数

3.財務及び会計に関する相当程度の知見を有する監査役の氏名、保有資格、経歴等

4.監査役の役割分担

5.その他

 ・監査役選任に関する基準

 ・監査役会議長の氏名、経歴等

 ・社外監査役の氏名、経歴等

 ・補助使用人(監査役スタッフ)の員数、専任/兼務の別、専門性等

 

【内閣府令の規定(記載上の注意)(56)a(b)】

 最近事業年度における提出会社の監査役及び監査役会(監査等委員会設置会社にあっては提出会社の監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては提出会社の監査委員会をいう。)の活動状況(開催頻度、主な検討事項、個々の監査役の出席状況及び常勤の監査役の活動等)を記載すること。

【記載が考えられる事項】

(監査役会の開催頻度・個々の監査役の出席状況)

1.開催数及び開催間隔等

2.個々の監査役の出席回数・出席率等

3.その他

 ・平均所要時間

 ・付議議案数

(監査役会の主な検討事項)

1.内部統制システムの整備・運用状況(リスク管理体制、ガバナンス体制、海外を含む企業集団内部統制など)

2.重点監査項目等

3.監査環境の整備

4.会計監査人の監査の相当性

5.競業取引・利益相反取引

6.不祥事等への対応

(常勤及び非常勤監査役の活動状況)

1.代表取締役へのヒアリング

2.取締役等へのヒアリング

3.重要会議への出席

4.重要な決裁書類等の閲覧

5.往査

6.取締役・取締役会・使用人に対する助言、勧告、その他の対応等

7.任意の諮問委員会の委員就任

8.社外取締役との連携

9.グループ監査役連絡会

 なお、独立性・透明性の確保、専門性の活用の観点から、非常勤(社外)監査役の活動としては以下が考えられる。

 ・取締役会、監査役会での意見の表明

 ・任意の諮問委員会の委員就任

 ・社外取締役との連携

 

 

  1. 監査役協会、「『企業内容等の開示に関する内閣府令』における『監査役監査の状況』の記載について」を公表(4月16日)
    http://www.kansa.or.jp/news/briefing/post-454.html
  2.  
  3. 参考
    SH2192 金融庁、「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正案を公表し、パブリック・コメントを開始(2018/11/14)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=7571722
  4.   SH2330 佐藤修二「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(2019/02/12)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=8206216
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