◇SH2547◇消費者庁、「公益通報者保護専門調査会報告書」に関する意見募集結果を公表 (2019/05/21)

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消費者庁、「公益通報者保護専門調査会報告書」に関する意見募集結果を公表

――「内部通報体制の整備義務」では対象とする民間事業者の範囲を巡って区々の意見――

 

 消費者庁消費者制度課は5月8日、「公益通報者保護専門調査会報告書」に関して1月23日〜3月29日の間に任意で実施した意見募集の結果を公表した。

 同報告書は、消費者委員会の公益通報者保護専門調査会(座長=山本隆司東京大学大学院教授)における2018年1月〜12月の計16回にわたる審議結果を取りまとめ、同年12月27日に公表されたものである。公益通報者保護法の施行状況を踏まえ、社会経済状況の変化へ対応するなどの観点から行われた「保護すべき通報者の範囲」や「外部通報の保護要件」等の論点に係る検討結果が示された。

 一方で、提言のなかには「法制的・法技術的な観点から整理を行うべき事項」「民間事業者及び行政機関の負担の増加を伴う事項」が含まれているため、消費者庁では引き続き関係者からの意見聴取を幅広く行うなどさらなる検討を進めることとしているとし、公益通報者保護専門調査会報告書のうち同報告書の大半を占める「Ⅱ 個別論点」を対象として今般の意見募集が行われたものである。

 当該個別論点として掲げられた項目も次のとおり多岐にわたっている。(1)不利益取扱いから保護する通報者の範囲、(2)通報対象事実の範囲、(3)外部通報の保護要件、(4)通報を裏付ける資料の収集行為に関する責任、(5)切迫性の要件、(6)通報体制の整備、(7)守秘義務、(8)行政通報の一元的窓口の設置、(9)2号通報として保護の対象となる通報先の拡張、(10)不利益取扱いをした事業者に対する行政措置、刑事罰、(11)不利益取扱いに関する紛争解決手続、(12)不利益取扱いが通報を理由とすることの立証責任の緩和、(13)通報行為に伴う損害賠償責任、(14)通報行為に伴う刑事責任、(15)その他の論点:行政による調査措置義務の対象となる通報者の範囲、通報者の探索および通報妨害、通報者へのフィードバック。

 これらのうち、たとえば(1)では具体的に保護すべき通報者として「退職者」「役員等」「取引先等事業者」「役員等であった者、取引先等事業者であった者」を取り上げ、退職者・役員等の両者については「保護対象とする者の範囲」を、役員等については「保護の内容」をも考察の対象とするなど、検討の視点を明らかにしている。

 個別論点に関してはほか、上記(3)に絡み、①2号通報における「通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合」(以下「真実相当性」という)との要件を緩和すべきとのことで、おおむね合意したこと、②通報対象事実を通報することがその発生またはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報(3号通報) について、現時点では3号通報の真実相当性の要件を維持すべきであることが述べられており、また(6)では「内部通報体制の整備義務」を民間事業者および行政機関に対して義務付けるものとなった(ただし、常時雇用する労働者の数が300人以下の民間事業者については努力義務)。

 公表された意見募集結果によると、意見は個人:60件、団体:27件の計87件が提出されたという。掲げられた意見としては上記(3)を巡って寄せられたものが多く、①2号通報の要件緩和について積極的な意見:5件、慎重な意見:3件、②3号通報保護要件の真実相当性を緩和することに積極的な意見:2件、慎重な意見:1件などが確認できる(なお、意見の取扱いについては本件公表に際して「取りまとめの便宜上、分割や要約、抜粋をしている」旨および「同じ主旨のものは適宜集約し、重複する意見等は記載していない」旨が表明されている)。

 (1)を巡り「役員等」につき保護する通報者の範囲に含めるかどうかに関しては、賛成意見のみが示されている。「取引先等事業者」については積極的な意見:7件が紹介される一方で、慎重な意見:3件も併記された。

 (6)の「内部通報体制の整備義務」を巡っては、義務付けに積極的な意見:2件、慎重な意見:2件を掲出。対象とする民間事業者の範囲については「例えば200人以下とするなど、義務とする範囲をより拡大すべき」「『努力義務』に留める場合は、従業員100以下の民間事業者とすべき」「法的義務と努力義務を区分する基準を定めるに際しては、EU指令案が従業員50人以上の場合又は年間売上高若しくは総資産が1000万ユーロ以上の場合に体制整備義務を課していることも踏まえて検討すべき」「中小零細企業にとっては負担が重いことも否定できないことから、まずは、一定規模の事業者について法的義務とし、中小零細規模の事業者について努力義務とすべき」などといった区々の意見を併せて掲げるものとなっている。

 

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