三菱ケミカルホールディングス、監査人による「監査上の主要な検討事項」を公表
――EY新日本有限責任監査法人が取締役会宛に任意の報告――
三菱ケミカルホールディングス(本社・東京都千代田区、東証第一部上場)は6月25日、「監査の透明性を高める観点からの報告書を受領しました」とし、同社の監査人であるEY新日本有限責任監査法人(本部・東京都千代田区、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドの日本におけるメンバーファーム)による「監査上の主要な検討事項」に関する同社取締役会宛の報告を公表した。
監査報告書における「監査上の主要な検討事項」の記載が、金融商品取引法に基づく有価証券届出書・有価証券報告書提出企業(非上場企業のうち資本金5億円未満または売上高10億円未満かつ負債総額200億円未満の企業を除く)の連結財務諸表等の監査証明について新たに求められることとなっている。監査人が実施した監査において職業的専門家として特に重要であると判断した事項(いわゆる「KAM(Key Audit Matters)」)を財務諸表利用者に提供するもので、2021年3月31日以後に終了する連結会計年度等に係る連結財務諸表等の監査から適用することとされた。ただし、2020年3月31日以後に終了する連結会計年度等に係る連結財務諸表等の監査からの早期適用も認められており、東京証券取引所の市場第一部上場企業についてはむしろ早期適用が行われるよう、関係機関の取組みが期待されている。
監査基準の改訂を受け、財務諸表等の監査証明に関する内閣府令及び企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(平成30年内閣府令第54号)が制定・公布されたことにより「監査上の主要な検討事項」に関する具体的記載事項も明らかにされたところであるが(SH2246 監査証明府令等の一部を改正する内閣府令が公布・施行(2018/12/12)既報)、三菱ケミカルホールディングスでは今般の公表に際して「『監査上の主要な検討事項』は内閣府令第54号(2018年11月30日)において監査報告書への記載が求められることになりました(2021年3月31日以後に終了する連結会計年度等から適用。2020年3月31日以後に終了する連結会計年度等から早期適用可)」「当社は、監査人による連結財務諸表の監査の透明性を高める観点から、上記府令の適用時期に先立って、任意で『監査上の主要な検討事項』に相当する事項の報告を受けております。報告の全文はこちらをご覧ください」とする説明を補足し、今般の公表の位置付けを分かりやすいものとした。
また同社では同日、第14期(2018年4月1日~2019年3月31日)有価証券報告書を提出しており、これを同社ホームページ上の「IRライブラリー」でこれまでと同様に掲載しているところ、本「IRライブラリー」においても、この有価証券報告書に並んで今般の報告「第14期(2018年4月1日~2019年3月31日)監査上の主要な検討事項に相当する事項の報告」を掲げ、アクセスを容易にしている。
第14期有価証券報告書における同社の連結財務諸表の監査に係る「独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書」中の財務諸表監査に関する監査意見をまず確認すると、当該有価証券報告書中の「第5 【経理の状況】」に掲げられる連結財務諸表について、適正意見が述べられている。
一方の「監査上の主要な検討事項に相当する事項の報告」をみると、当該「監査上の主要な検討事項に相当する事項」について(1)その意義とともに、(2)これが「連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない」ことが表明されている。
そのうえで、今般の報告は「監査上の主要な検討事項に相当する事項」の具体的な記載として(ア)これらに関連する有価証券報告書中の【連結財務諸表注記】における開示箇所を示しながら、(イ)その内容としては、①産業ガス事業の企業結合(連結財務諸表注記5参照)、②のれんの評価(同注記13・15参照)、③耐用年数を確定できない無形資産の評価(同注記13参照)、④繰延税金資産の評価(同注記11参照)の4点について、(ウ)監査上の主要な検討事項に相当する事項に該当すると判断した決定理由、(エ)監査上の対応ーーの4項目を説明するものとなった(上記(ア)〜(エ)の4項目は監査証明府令4条5項1号〜4号の各規定に対応)。