◇SH2813◇第1回「ODR活性化検討会」が開催――オンラインによる紛争解決の利用拡充を検討、基本方針につき年度中に結論 (2019/10/08)

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第1回「ODR活性化検討会」が開催

――オンラインによる紛争解決の利用拡充を検討、基本方針につき年度中に結論――

 

 日本経済再生本部(本部長・首相)は9月27日、ODR活性化検討会(座長・山田文(京都大学教授))の第1回会合が同日開催されたことを発表した。

 ODRは、オンラインでの紛争解決(Online Dispute Resolution)の略称。令和元年6月21日閣議決定「成長戦略フォローアップ」では、「紛争の多様化に対応した我が国のビジネス環境整備として、オンラインでの紛争解決(ODR)など、IT・AIを活用した裁判外紛争解決手続などの民事紛争解決の利用拡充・機能強化に関する検討を行い、基本方針について2019 年度中に結論を得る」ものとされた。今般、これを受け、内閣官房日本経済再生総合事務局が事務局を担当し、学識経験者および実務家ら計8人の委員で構成される「ODR活性化検討会」が発足した。

 会合にはさらに、日本司法書士会連合会副会長と最高裁判所事務総局民事局がオブザーバーとして加わる。関係省庁として、内閣官房日本経済再生総合事務局のほか、内閣官房副長官補室、金融庁金融トラブル解決制度推進室、消費者庁消費者政策課、消費者庁地方協力課、法務省大臣官房司法法制部、経済産業省情報経済課、中小企業庁取引課の名も掲げられており、国を挙げての検討体制が構築されたと捉えられる。

 「ODR活性化検討会の開催について」と題する運営要領によると、検討会の会合そのものは非公開ながら、終了後、議事要旨と検討会配布の資料は「速やかに公表する」とされ(ただし、座長の判断により全部または一部を公表しないこともできる)、9月27日開催の第1回会合についても、配布資料一式に関しては当日中に公開された。

 事務局説明資料で示された「検討項目(案)」は、次の計11項目である。1. 総論的課題として、(1)日本の司法アクセス環境の現状、(2)ODRの意義とIT・AIの活用ニーズ、(3)民間企業や諸外国における取組。2. 各フェーズでのIT・AI活用に向けた取組として、(1)プレ・ADRフェーズでの取組、(2)ADRフェーズでの取組。3. 分野毎の取組・課題として、(1)ODRの速やかな実装への期待、(2)ODRの実装に向けた課題。4. 考えられるアプローチ〜ODR活性化のための環境整備〜として、(1)ODR活性化に向けた環境整備、(2)ODRを活用したADRの信頼性を高める方策、(3)当事者の紛争解決力を高めるための専門家向けのIT・AIツール、(4)紛争解決に向けたビッグデータ活用の可能性。また、議事次第によれば、当日は「ODRを始めとするIT・AI活用のニーズ、諸外国の状況」をテーマとし、一橋大学の渡邊真由氏、損害保険ジャパン日本興亜株式会社によるプレゼンテーションが行われた。

 今後は月1回の頻度で検討会が開かれ、来年2月下旬開催の第6回会合における最終取りまとめが予定されている(予備日として、3月下旬の日程も想定)。

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