イオン、上場子会社の連結子会社における不適切会計を発表
――2004年設置の内部通報制度により発覚、連結業績への影響は軽微――
イオン(本社・千葉県千葉市美浜区、東証市場第一部上場)は11月1日、同社の上場子会社であるイオンフィナンシャルサービス(本社・東京都千代田区、東証市場第一部上場)の連結子会社であるフィリピンの現地法人 AEON CREDIT SERVICE (PHILIPPINES) INC.(以下「ACSフィリピン」という)において不適切な会計処理が行われていたことが判明したとし、経緯・概要、連結業績への影響、今後の対応について発表した。
イオンは複数の上場子会社を擁する純粋持株会社で、今般の不適切会計についてはイオン、イオンフィナンシャルサービスとも11月1日17時00分付で東証TDnetにおける適時開示を行った。ACSフィリピンはイオンフィナンシャルサービスの連結子会社であるAFSコーポレーションの子会社に該当し、AFSコーポレーションが73.68%の株式を保有する。
本年7月下旬、イオングループ内部通報制度への通報を受け、イオンフィナンシャルサービスにおいてすみやかに調査を開始、11月1日の発表当日まで事実確認を行ってきたという。過年度および当事業年度において、ACSフィリピンにおける(1)割賦売掛債権の延滞認識の過小評価、(2)繰延割賦利益の前倒しによる取崩し、(3)業務委託費用等の資産計上による利益の過大計上が判明し、一方、現金実査と支払証憑の確認によっては架空取引・横領・着服につながる事象は発見されなかった。
イオンフィナンシャルサービスの発表による影響額は過年度において経常利益で約12億円であり、発表時点で当事業年度の連結業績予想に修正はない。イオンにおいても「連結業績へ与える影響は軽微であり、当事業年度の連結業績予想に修正はありません」と述べた。
今後は全容解明を徹底的に行い、調査結果を踏まえ、イオンでは「再発防止のための適切な対応を指導するとともに定期的なモニタリングを行って」いくとし、また、イオンフィナンシャルサービスでは「再発防止のための適切な対応を図って」いくとともに、ACSフィリピンにおいては「現地当局とも協議、連携しながら」現地の顧客・取引先等に迷惑をかけないよう努めていくとしている。第三者委員会の設置や社内調査に係る調査報告書の公表に関する言及はない。
イオンの内部通報制度「イオン行動規範110番」は2004年に設置され、イオングループで働く全従業員を対象とし、社内および社外に相談窓口を用意している。通報・相談内容は「企業倫理チーム」によってグループ該当各社に連絡され、その後2週間を目途として事実関係を調査・対応のうえ、是正措置を含む結果について企業倫理チームへ報告するというルールを徹底しているという。2006年からは海外グループ会社においても①イオン行動規範研修、②ヘルプライン(内部通報制度)の設置、③モニタリング(イオン行動規範アンケート)の導入を開始。国際統合報告フレームワークを参考に作成されている「イオンレポート2019」によれば、たとえば①について、2018年度は海外グループ68社を対象として幹部・推進リーダー・一般従業員・新入社員という4つの階層別に研修を実施、計5万3,173人が参加したとされている。