経産省、「AI・データの利用に関する契約ガイドライン 1.1版」
を策定
岩田合同法律事務所
弁護士 森 駿 介
1 「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」の策定と改訂経緯
経産省は、2018年6月、①データの利用等に関する契約、及び②AI技術を利用するソフトウェアの開発・利用に関する契約の主な課題や論点、契約条項例、条項作成時の考慮要素等を整理し、データ編とAI編からなる「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」(以下「本ガイドライン」という。)を策定した。本ガイドラインは、データ利活用やAI技術開発に関する契約作成の手引きとして、国内でのビジネスや研究開発の実務において、広く参照されている。本ガイドラインの概要や策定後の展開等については、過去の記事[1]をご参照いただきたい。
経産省は、2018年12月より、AI・データ契約ガイドライン検討会作業部会を開催し、本ガイドラインの利便性を向上させるための検討を行ってきたところ、2018年の不正競争防止法(以下「不競法」という。)改正(2019年7月施行)によって、「限定提供データ」の不正取得や使用等に関する民事措置が創設されたこと、また、それに先立つ同年1月に「限定提供データに関する指針」が公表されたこと等を受け、2019年12月9日、本ガイドラインのデータ編を改訂した「AI・データの利用に関する契約ガイドライン1.1版」(以下「改訂版ガイドライン」という。)を公表した。
2 不競法改正と改訂版ガイドライン
取引により一定の流通を予定されているデータは、「営業秘密」(不競法2条6項)として保護されない場合があり得るため、2018年の不競法改正において、一定の条件下で相手方を特定して提供されるデータの保護を図るべく、「限定提供データ」(同条7項)に係る「不正競争」行為(同条1項11号~16号)が創設された。下図は、限定提供データに係る不正競争行為をまとめたものである。
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