SH4196 全株懇、「書面交付請求対応指針」を制定 丸山真司(2022/11/11)

組織法務株主総会

全株懇、「書面交付請求対応指針」を制定

岩田合同法律事務所

弁護士 丸 山 真 司

 

 2022年10月21日、全国株懇連合会により「書面交付請求対応指針」が制定されたので紹介する。

 

1 株主総会資料の電子提供制度・書面交付請求について

 会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)によって株主総会資料の電子提供制度が導入された(会社法第325条の2以下)。会社法上は同制度の採用は任意であるが、いわゆる上場会社等の振替株式発行会社については採用が強制され(社債、株式等の振替に関する法律(以下「振替法」)第159条の2第1項等)、これらの会社では2023年3月1日以降に開催される株主総会から電子提供制度のもとで株主総会の招集を行う必要がある。

 電子提供制度を採用する会社においても、インターネットの利用が困難な株主等の利益を考慮し、株主は書面による株主総会資料の交付を会社に対して請求できるが(書面交付請求。会社法第325条の5第1項)、株主からの書面交付請求の方法については会社法上特段の定めはない。この点、電話等での口頭による書面交付請求を認めた場合、会社として事後的に書面交付請求の有無を確認することが困難となることが懸念されるため、全国株懇連合会では、書面交付請求の確実な受付手続きを行う観点から、請求の方法を書面に限定することとした株式取扱規程モデルの改正を行っている(「株主総会資料の電子提供制度に係る株式取扱規程モデルの改正について」2022年4月8日全国株懇連合会理事会決定)。今般、かかる改正を踏まえて、書面交付請求についての実務上の留意点等を明確にするため、同会によって「書面交付請求対応指針」が定められた。

 

(出典:法務省HP)https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2022/11/001370229.pdf

 

2 書面交付請求対応指針

 指針中、実務上特に重要と思われるものは以下のとおりである。

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(まるやま・しんじ)

岩田合同法律事務所弁護士。2007年東京大学法学部卒業。2008年弁護士登録。2013年から2018年までRAJAH & TANN ASIAタイオフィス出向。銀行、保険会社、電力会社関係訴訟等の紛争解決案件を数多く手掛けるほか、東南アジア諸国の外資規制、会社法制、労働紛争等にも強みを持つ。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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