東証、「従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会」の
第1回会合を開く
――支配的な株主を有する上場会社をめぐる論点――
東京証券取引所は1月7日、「従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会」の第1回会合を開いた。
いわゆる上場子会社のガバナンスについては、経済産業省が「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」を2019年6月に公表しているところである(後掲の別稿参照)。
これに対し、東証では、上場子会社のガバナンスの向上等に関する上場制度の整備について、2019年11月29日から1月10日まで意見を募集した上で確定し、2月から施行する予定である(後掲の別稿参照)。
東証では、これとあわせて、実質的な支配力を持つ株主(「支配的な株主」)を有する上場会社(「従属上場会社」)をめぐる最近の事例が示唆する問題点、支配的な株主と従属上場会社の少数株主との間の利害調整の在り方、少数株主保護の枠組み等について議論を行うため、学識経験者、上場会社および投資家が参加する研究会を設置することを公表していた。
今般開かれた第1回会合には、事務局および経済産業省による説明資料等が示されているが、事務局資料で「ご議論いただきたい事項」として掲げられている「昨今の状況」と「課題」は、次の点である。
- 〔従属上場会社が増加〕
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・従属上場会社においても上場子会社と同様に、支配的な株主の影響力行使により少数株主の利益が損なわれるおそれがあると考えられるがどうか
- 〔特に上場後に支配従属関係が形成された会社において少数株主保護に関する問題が散見〕
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・支配従属関係を踏まえた少数株主保護の認識が必ずしも十分でないと考えられるがどうか
- 〔従属上場会社において独立社外取締役が不在となる事例が発生〕
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・従属上場会社において少数株主保護の枠組みを充実させていくことが考えられるがどうか
- 〔支配従属関係を有する会社に関する情報開示が十分でない可能性〕
- ・投資者が支配従属関係を有する会社に対して投資判断を行う上で、双方の会社において、どのような情報の開示が必要か
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東証、従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会(第1回)(1月7日)
https://www.jpx.co.jp/equities/improvements/study-group/index.html -
○設置要綱(メンバー含む)(2019年12月27日)
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/01/nlsgeu000004djvd.pdf -
○資料1 議事次第
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/01/nlsgeu000004hefx.pdf -
○資料2 メンバー等名簿
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/01/nlsgeu000004heim.pdf -
○資料4-1 事務局説明資料
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/01/nlsgeu000004hg91.pdf -
○資料5 経済産業省説明資料
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/01/nlsgeu000004hgca.pdf - 参考
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SH2665 経産省、「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」を策定 大櫛健一(2019/07/12)
https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=9388482 -
SH2932 東証、上場子会社のガバナンスの向上等に関する上場制度の整備について意見募集を開始―独立役員の独立性基準の強化、グループ経営の考え方等の開示の充実等(2019/12/13)
https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=10545890