企業法務フロンティア
プロスポーツクラブの買収手続――JリーグとBリーグを例に――
日比谷パーク法律事務所
弁護士 野 宮 拓
1 はじめに
2017年12月、DeNAがプロバスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースを買収することが、2018年4月、RIZAPグループがJリーグの湘南ベルマーレの経営権を取得することが、同年10月にはサイバーエージェントがFC町田ゼルビアを買収することが、2019年4月にはミクシィがBリーグの千葉ジェッツを買収することが、そして、同年7月には、メルカリがJリーグの鹿島アントラーズを買収することがそれぞれ発表された。消費がモノからコトに移っているといわれる中で、ライブエンターテイメントであるスポーツの価値が再認識されている結果であると同時に、ESGを重視する社会的潮流も影響しているものと思われる。すなわち、JクラブもBクラブも「地域密着」を謳っており、東京一極集中で過疎化が進む地方社会にあって、JクラブあるいはBクラブへの投資を通じて、地域社会への貢献が見込まれ、そのことに価値を見出す企業が増加しているとも言える。今後このような動きはますます加速することが見込まれる。
しかしながら、JクラブやBクラブの買収手続には一般企業の買収手続と異なる特別な手続・留意点があることはあまり知られていない。当職は、Jリーグの法務委員長及びBリーグの法務委員長を務めていることから、JクラブやBクラブを買収するにあたって、JリーグやBリーグとの関係でどのような手続が必要とされるのかについて解説し、今後、買収を検討する企業の参考にしていただきたいと思う。以下、①株式取得に関する理事会承認、②クロスオーナーシップの禁止、③会員資格による制限について解説する。
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