◇SH3084◇会計士協会、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その1)」を公表 ――監査手続に係る留意事項等をまとめる――(2020/04/01)

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会計士協会、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その1)」を公表

――監査手続に係る留意事項等をまとめる――

 

 日本公認会計士協会は3月18日、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その1)」を公表した。

 それによると、新型コロナウイルス感染症拡大により、「監査においては、当初予定していた手続が実施できない状況が生じている」との会員からの声が寄せられているところであるが、「新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の影響下においても、監査人は、感染拡大のリスクに留意しながら、職業的専門家としての判断を行使し、被監査会社の協力を得て、十分かつ適切な監査証拠を入手できるように対応することが望まれる」としている。

 このため、会計士協会では、現時点において、監査人が留意すべきと思われる事項をまとめたものである。今後も状況の変化により追加して留意すべき事項が生じた場合には、改めて周知することとしている。

 

 以下、今回の「留意事項(その1)」の項目と概要を紹介する。

 

1 監査手続に係る留意事項

(1)実地棚卸の立会

 (実地棚卸が期末日以外の日の場合の対応)

 実地棚卸が期末日以外の日(例えば、期末日後)に実施される場合には、実地棚卸日と期末日における棚卸資産の増減が適切に記録されているかどうかについて監査証拠を入手するための監査手続を実施しなければならない点に留意する必要がある。

 (代替的な手続による対応)

 実地棚卸の立会を実施することが実務的に不可能な場合には、棚卸資産の実在性と状態について十分かつ適切な監査証拠を入手するため、代替的な監査手続を実施しなければならない点に留意する必要があり、個々の状況を踏まえて慎重に検討する必要がある。

 (代替的な手続も実施できない場合の対応)

 代替的な監査手続を実施できない場合や実施しても十分かつ適切な監査証拠を入手できなかった場合には、監査基準委員会報告書705「独立監査人の監査報告書における除外事項付意見」に従い、監査意見に与える影響を評価しなければならない。

 

(2)残高確認(略)

 

(3)監査証拠の信頼性

 (被監査会社への往査が制限され監査証拠を電子媒体等により間接的に入手する場合の対応)

 被監査会社への往査が制限され、被監査会社が証憑を複写又はPDF等の電子媒体に変更したものを監査証拠として利用する場合や、被監査会社が自社のデータベ―スからダウンロードした情報を監査人が利用する場合に、原本から媒体に変更する過程で、又は被監査会社のデータベースから情報をダウンロードし監査人に提供するためにデータを加工する際に、情報が変更される可能性があることに留意する。

 

(4)グループ監査

 構成単位の企業活動や構成単位の監査人の作業に制限等があった場合、グループ監査チームは、被監査会社及び構成単位の監査人と一層のコミュニケーションを図る必要があり、監査基準委員会報告書600「グループ監査」の要求事項を満たすように以下の点に留意が必要である。

  1. ① 構成単位への影響及びその程度を理解する。
  2. ② 構成単位の監査人が実施する作業への影響を理解する。

 

2 既に決算日を迎えた企業の監査対応(略)

 

3 内部統制監査

 経営者の評価手続が実施できない場合は、災害等、やむを得ない事情による評価範囲の制約に該当し、この取扱いに従った対応をとることになると考えられる。

 

4 監査スケジュールの延長等

 十分かつ適切な監査証拠を入手するための監査手続の進捗状況によっては、今後の監査スケジュールを再度検討し、監査報告書の提出日を見直す必要がある点に留意が必要である。また、被監査会社の決算スケジュールの進捗状況にも留意が必要である。

 

 

会計士協会、新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その1)(3月18日)
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20200318fcb.html

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