☆中国:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報) 川合正倫(2020/03/27)

 

2020年3月26日号
中国:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 川 合 正 倫

はじめに

 3月25日、小池都知事が新型コロナウイルス感染の現状を「感染爆発の重大局面」と評し、在宅勤務の推奨や週末の外出自粛を呼びかけるなど、国内における新型コロナウイルスの感染加速への緊迫感が増しています。また、渡航制限の拡大等に伴い、海外に子会社・関係会社を抱える企業からの問い合わせも増えているため、速報ベースで各国の方針や影響拡大状況の概要につきお知らせ致します。なお、本記事は感染拡大が続く間、不定期に配信していきたいと思いますが、同感染症の拡大状況については日々状況が変化している中、本記事の内容がその後変更・更新されている可能性については十分ご留意の上参照ください。本記事の内容は、特段記載のない限り、日本時間2020年3月25日夜時点で判明している情報に基づいています。

 

全体概況  死亡者:3,277人、感染者数(累計):81,171人(3月24日現在)[1]

 中国政府の発表による限り、国内感染は収束に向かいつつあり、武漢市の封鎖措置が4月8日に解除される旨が発表されるなど事業活動再開の動きが加速している。他方で、新規感染者の大部分は国外からの流入事例であることから、海外からの入国者に対して厳格な管理が実施されている。入国者に対する管理措置は地方政府ごとに大きく異なり、また、随時変更される状況にあるため、渡航地域の最新の状況を確認する必要がある。なお、上海市は、国外からの全渡航者を対象にPCR検査を実施しているものの、3月23日以降に日本から渡航した者については隔離対象から除外された。

 

主な政府発表

  1. ・ 湖北省政府は、新型コロナウイルス感染症の震源地となった武漢の封鎖措置を4月8日に解除すると発表した。
  2. ・ 国内感染の収束傾向を受け、各地方政府は事業再開への動きを加速させ、街も活気を取り戻しつつある。例えば、上海市では3月24日以降、集合住宅(小区)の敷地への非居住者や車両の立ち入りについて緩和される見込みである。

 

渡航情報

  1. ・ 3月10日以降、日本人が、旅行、友人訪問又はトランジットのいずれかの目的で中国に入国する場合、滞在日数が15日以内であれば査証を免除するという措置が暫定停止されている。日本人のビジネス及び親族訪問目的の中国訪問については引き続き査証免除が適用されるが、入国時に中国国内の招待側が7日以内に発行した書類の原本を提示する必要がある。
  2. ・中国の多くの地域では、入国者に対し、到着空港から当局の指定車両で居住地や指定ホテルに移送して14日間の隔離措置を義務付けるなど、国外からの渡航者に対する入国管理措置が強化されている。入国者に対する管理措置は地方政府ごとに大きく異なり、また、随時変更される状況にあるため、渡航地域の最新の状況を確認する必要がある。
  3. ・ 上海市では、国外からの全入国者を対象にPCR検査を実施している。また、感染が深刻な24か国からの渡航者を対象に14日間の自宅又は指定施設での隔離措置が求められるが、3月23日以降に日本から入国する場合は隔離対象から除外された(同日以前に日本から入国した者は引き続き隔離措置の対象となる。)。もっとも、上述の査証免除措置は解消されていないこと、上海の空港(3月25日から虹橋空港の国際線受け入れは停止され浦東空港に一本化されている。)から自宅等の移動に相当な長時間を要するという報告もあり、上海への渡航には引き続き十分な注意が必要な状況にある。
  4. ・ 北京市では、3月25日以降、国外からの全入国者を対象にPCR検査が実施される。また、国外からの渡航者は原則として一律で指定施設で14日の隔離措置の対象となる。さらに、北京首都国際空港を目的地とする国際線は他の空港に一時着陸して検疫を行うことが義務付けられており、北京への渡航にも注意が必要な状況にある。
  5. ・ この他、江蘇省及び浙江省は、国外からの全入国者を対象に指定施設での14日間の隔離を求めている。

 

その他

  1. ・ 国内症例の収束傾向を受け、上海市でもテレビ塔をはじめとする観光施設やレストラン・ショッピングモールも続々と事業を再開し、マスクをして街を行き交う人の数も増えている模様。一方で、学校の再開の目途は立っておらず、地下鉄では乗車人数を制限するなど完全な再開へは時間を要するものと考えられる。

 


[1]  大部分は武漢が所在する湖北省に集中している(累計死者数3,160人、累計感染者数67,801人)

 

 

(かわい・まさのり)

長島・大野・常松法律事務所上海オフィス一般代表。2011年中国上海に赴任し、2012年から2014年9月まで中倫律師事務所上海オフィスに勤務。上海赴任前は、主にM&A、株主総会等のコーポレート業務に従事。上海においては、分野を問わず日系企業に関連する法律業務を広く取り扱っている。クライアントが真に求めているアドバイスを提供することが信条。

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