◇SH0160◇台湾:会社法改正の最新動向 德地屋圭治(2014/12/08)

未分類

台湾:会社法改正の最新動向

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 德地屋 圭 治

 台湾に進出してビジネスを展開する日本企業は、通常、台湾で支店を開設したり、あるいは子会社を設立したりすることが多いが、台湾の会社法は、そのような台湾支店や子会社の運営に大きな影響を及ぼすので、台湾会社法に関する知識は絶えずアップデートしておく必要がある。本稿では、2014年1月に台湾行政院(内閣に相当)が決定し、現在立法院(国会に相当)で審議されている会社法改正案の主要なポイントについて紹介したい。

1 外国会社認許制度の廃止

 現行の会社法においては、台湾外で設立された外国会社は、台湾政府から認許を受け、かつ、台湾での支店の登記を経ない限り、台湾内で営業をしてはならないとされ(会社法第371条)、現行の民法施行細則においては、認許を得た外国法人については、法令の制限内において、台湾における同種の法人と同一の権利能力を有するとされている(民法施行細則第12条)ため、台湾の実務では、認許を受けていない外国会社は、原則として、台湾内では権利能力が認められないと考えられている。このため、例えば、このような外国会社は、原則として、台湾内で担保権を保有することができず、担保権登記もできない取扱いとなっている。しかし、実際の貿易上の必要性や国際的な立法動向の趨勢に合わせるため、外国会社認許制度を廃止が検討されている。台湾企業との間で様々な取引を行っている日本企業にとっては、担保権取引などの取引がより円滑になると考えられる。

2 株券不発行制度の採用

 現行の会社法においては、上場会社等の公開発行会社については、台湾の保管振替機構に株式を登録することで株券を発行しないものとすることができ、非公開会社に関しては、払込資本金額が5億台湾ドル未満の股份有限公司(日本でいう株式会社)については、株券を発行する義務はない。これに対し、払込資本金額が5億台湾ドル以上の股份有限公司については、設立登記後又は新株発行登記後3ヶ月以内に株券を発行しなければならないとされている。しかし、株券ペーパーレス化の国際的潮流、株券紛失等のリスクの低減などに鑑み、非公開会社であっても、資本金額を問わず、株券を発行しないことができるように改正することが検討されている。

3 公開発行会社による中間配当制度

 現行の会社法においては、股份有限公司の配当利益については、毎事業年度終了後に配当でき、期中の中間配当については規定がなかった。しかし、株主による投資効率の向上などのため、公開発行会社については、半期毎に中間配当をすることができるように改正することが検討されている。中間配当にあたっては、定款による授権に基づき、董事会において決定することができるが、董事会決議日又は翌日に、その内容を台湾証券取引所が運営する情報開示サイトで開示する必要がある。中間配当は現金を分配するか、または、証券取引法の規定に従って、新株を発行して分配することも可能である。

4 従業員ボーナス規定の削除

 現行の会社法によれば、股份有限公司の定款においては、原則として、従業員に対するボーナスの分配に関する規定を設けなければならないとされており、股份有限公司の定款には、毎事業年度において利潤があった場合に従業員にボーナスを分配することを定める(例えば、従業員のボーナスを利潤の2%以下の現金、などと定める)ことが必要である。しかし、従業員へのボーナスは費用として会計処理することが国際的趨勢であり、利益配当は性質上株主の権利であり、従業員は対象ではないことから、上記規定について削除することが検討されている。この場合、従業員ボーナスについては、各会社において内部規則等を制定して定めることになろう。

5 制限付従業員新株の発行対象の拡大

 制限付従業員株式(限制員工權利新股)は、上場会社等の公開発行会社がその従業員に発行する株式であり、従業員のインセンティブプランとして利用されているが、これまで子会社等の従属会社に対する発行に関する規定がなかった。しかし、企業グループ経営における必要性から、制限付従業員株式を一定範囲の従属会社に対し発行できる旨、定款において規定することができるようにすることが検討されている。

 台湾会社法改正案の主要な内容は以上のとおりであるが、改正案は現時点で立法院において未だ審議中であり、最終的な内容は立法院で可決される法律改正案を確認する必要があるので、留意されたい。

(とくじや・けいじ)

長島・大野・常松法律事務所弁護士。2003年東京大学法学部卒業、2011年University of California, Berkeley, School of Law卒業(LL.M.)。2013年Peking University Law School卒業(LL.M.)。2013年から1年半台北に駐在し、理律法律事務所(Lee and Li)に勤務した経験を有している。日本企業による台湾企業の買収案件等のM&Aを中心として、日本企業による台湾進出のサポート、労務・契約紛争などの紛争解決、競争法関連の問題などを取り扱っている。

長島・大野・常松法律事務所      www.noandt.com

長島・大野・常松法律事務所は、弁護士339 名(2014 年6月1 日現在、外国弁護士13 名を含む。)が所属する日本最大級の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野に対応できるワンストップファームとして、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

東京オフィスにおいてアジア法務を取り扱う「中国プラクティスグループ(CPG)」及び「アジアプラクティスグループ(APG)」、並びにアジアプラクティスの現地拠点であるシンガポール・オフィス、バンコク・オフィス、ホーチミン・オフィス、上海オフィス(2014 年11月に開設)及びアジアの他の主要な都市に駐在する当事務所の日本人弁護士が緊密な連携を図り、更に現地の有力な法律事務所との提携・人的交流を含めた長年の協力関係も活かして、日本企業によるアジア地域への進出や業務展開を効率的に支援する体制を整えております。

 

詳しくは、こちらをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました