◇SH0162◇企業法務よしなしごと―ある企業法務人の蹣跚43 平田政和(2014/12/09)

そのほか法務組織運営、法務業界

(第43号)

企業法務よしなしごと

・・・ある企業法務人の蹣跚(まんさん)・・・

平 田 政 和

Ⅳ.Seniorのために・・・将来を見据えよう(その6)

【法律事務所との関わり】

 

 前号では「社外専門家との連携」について、簡単に私の考えを述べたが、この号では、われわれの業務との関連で一番関係の深い法律事務所との関わりについて考える。

 企業の立場から見て企業法務の全部または一部を外部の法律事務所に依頼するか企業内部で行うかは、それぞれの企業の判断であろう。

 経験を積んだ法務部にあっては、自社が関係する多くの問題について実務的かつ専門的な知識を有している場合もある。しかしながら、これら法務部が有している知識は基本的には過去の自社の案件を取り扱う過程で得られたものが中心であり、専門分野で数多くの案件に対応してきた外部の法律事務所と比べれば見劣りする場合もある。また法務部要員にも限りがある。

 従って、たとえば、移転税制・海外税法関連問題、ファイナンス関連案件、知的財産権関連案件、労働法関連案件、製造物責任問題、通商問題といった精緻な法的検討を要する特殊な分野やM&A案件のような多数の専門家を集中的に投入する必要のある業務などにあっては、外部の法律事務所に頼らざるを得ない。

 また、外国法の調査についても、質問内容、疑問点、目的、狙いをはっきりとさせた上で外国の法律事務所に直接依頼した方が効果的である。

 法曹資格を有することが必要とされている訴訟案件、保全処分、行政不服事件などは、社内弁護士が在籍している場合はともかく、それ以外の場合は当然のことながら外部法律事務所に依頼することとなる。(また、たとえ社内弁護士が在籍していたとしても、経験や専門性から考えて外部法律事務所に依頼したり共同で対応することもある。)

 さらに、法務部の意見・見解が独善に陥らないよう客観性を担保するためにも、また後日の紛争を避けるためにも、外部の法律事務所(やその他の法律専門家)の意見を聞いたり、鑑定を得たりしておくのが望ましい場合もある。

 反社会的勢力との対決を要する案件については、透明性を保って公明正大に問題に対処する必要があるため、外部の法律事務所の弁護士を交渉窓口とするのが適切である。

 一方、企業内部で行うことが望ましいと考えられる次のような業務もある。具体的には、①経営会議や社内各部門の会議に出席し意見を述べたり、契約交渉その他の交渉に参加し判断を行ったりするという企業の経営判断を法的側面から直接支える業務、②日常的な法律相談や契約書の立案・検討という業務を通して実効的に予防法務を遂行する業務、③外部法律事務所選定や、訴訟の開始・終了・和解について判断する業務、である。

(以上)

 

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