◇SH0198◇企業法務よしなしごと―ある企業法務人の蹣跚53 平田政和(2015/01/23)

そのほか法務組織運営、法務業界

(第53号)

企業法務よしなしごと

・・・ある企業法務人の蹣跚(まんさん)・・・

 

平 田 政 和

 

Ⅳ.Seniorのために・・・将来を見据えよう(その16)

【不祥事への対応】

 

 マスメディアでは多くの企業不祥事が報道されている。私も循環取引、架空取引を始めとする幾つかの不祥事の調査や再発防止策の策定に関与してきた。中には印鑑偽造事件もあった。また過去に共に仕事をした仲間が関与した事件もあった。今でいう反社会的勢力と対決、交渉をしたこともあった。

 不祥事については、一番長く仕えた上司の「新聞に載っているような不祥事について『当社では起こらない。』、『あのような不祥事は例外的なものである。』と思ってはいけない。程度の違いこそあれ当社にも起こり得る、ということを常に意識していなければならない。」という言葉をいつも頭の隅に置いていた。

 発生した不祥事の実態調査については、常に公正・公平な態度を維持しつつ、関係者の話を丁寧に聞き、時間をかけて全ての事実や実態を知ることを第一とし、それをもとに客観的に判断するという姿勢は貫いたと思っている。

 「職を賭する」と大上段に振りかぶった意識はなかったが、報告書に担当取締役の責任について明確に指摘したことや過去の処分例を充分に調査・検討した上で、関係者の多数意見に与しない結論を出したこともあった。

 これらの判断や結論については、いずれもそのまま受け入れられ、判断や結論が直接に問題とされたことはなかった。この意味では透明性のある会社だったと感謝している。

(以上)

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