◇SH0552◇企業内弁護士の多様なあり方(第6回) -業務に対する積極性の態様・程度(下) 本間正浩(2016/02/10)

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企業内弁護士の多様なあり方(第6回)

-第2 業務に対する積極性の態様・程度(下)-

日清食品ホールディングス

弁護士 本 間 正 浩

第2 業務に対する積極性の態様・程度(下)

 さらに、シニアな弁護士になると、ジェネラル・カウンセルやチーフ・リーガル・オフィサーといった肩書きのもと、経営会議等、法務とは直接関係のないビジネス上の会議体のメンバーになっていることも多く、その中で得た会社の状況から、法務として対応するべき事項を積極的・能動的に「見つけ出していく」ことが期待される。そのように見つけ出した上は、ビジネス部門からの照会を待たず対応を検討していくことになる。むしろ、このような段階では法的問題の発見が企業内弁護士の「責務」として理解される。

 4 このように、企業内弁護士は多かれ少なかれ積極的・能動的に問題を見つけ出していくという機能を有する。これは企業内弁護士と法律事務所の業務の本質的な相違の一つであり、その意義である。

 すなわち、その執務時間の全てを当該企業の業務に費やすがゆえに、企業内弁護士は、企業内における法的問題を的確に把握できる立場にあるのである。

 まず、企業内弁護士の情報源は極めて広範である。前述の通り、照会・依頼は法的問題の発見の「きっかけ」と捉えられるし、また、社内のビジネス委員会への出席もその端緒である。また、米国では「ウォータークーラートーク(日本で言えば、さしずめ「給湯室での会話」といったところか)という表現があるが、公式/非公式に捉われず日常のビジネス同僚との会話、特には雑談が問題発見のヒントとなることも珍しくない。また、企業内弁護士の得る情報は他者の整理を経ていない「一次的情報」であるという特色がある。そして、企業内の事情を知悉しているがゆえに、情報/資料の所在、さらには情報(あるいは情報源)の信頼性の判断も可能になるのである。

 そして、問題の発見が「可能」であるということの延長線にはそれを「責務」するという考え方が導かれるのである。

以 上

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