ブラジルにおける紛争解決手段
――ブラジル進出企業が知っておくべき司法制度の概要――
西村あさひ法律事務所
弁護士 齋 藤 梓
「2014年度中南米日系進出企業の経営実態調査」(ジェトロ)によると、ブラジル進出日系企業が投資環境面でリスク(問題点)と感じているのは、「税制・税務手続きの煩雑さ」(回答率86.9%)や「人件費の高騰」(80.6%)の他、「労働争議・訴訟」が59.4%、「法制度の未整備・不透明な運用」が51.3%と高い数値を示した。主要なリスクの一つとして問題視されているブラジルの司法制度について以下概観する。
1 ブラジルの裁判制度
ブラジルの裁判制度は、連邦裁判所と州裁判所及び労働裁判所等の特別裁判所で構成される(下図参照)。連邦裁判所は連邦政府や準政府機関等が当事者となる訴訟について管轄し、州裁判所はそれ以外の行政に関連しない刑事、民事、商事等に関する訴訟を管轄する。なお、ブラジルは一定の刑事事件を除いて陪審員による裁判制度を採用していない。
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