メキシコのエネルギー事業改革に伴う資源上流案件の現況
西村あさひ法律事務所
弁護士 紺 野 博 靖
弁護士 大 槻 由 昭
1 はじめに
メキシコの石油天然ガス資源の重要性は、2014年7月25日に開催された日メキシコ首脳会談において、我が国の首相が、「メキシコの石油の増産やシェールガスの開発は世界のエネルギー市場の安定にとっても重要である。日本の技術と資金が今後有効に活用されることを期待している。日本企業の石油・ガス上流開発への参画や、メキシコからのLNG供給の可能性もあり、これらに協力していく。」旨の発言したことや、IEA(国際エネルギー機関)が2016年11月16日に公表するとしているWorld Energy Outlook 2016の特集の一つに、「メキシコのエネルギー見通し(Mexico’s energy outlook)」というタイトルの掲載が予定されていることなどからも伺い知ることができる。
さらにIEAは、上記特集の紹介文において、「メキシコにおいて承認された包括的エネルギー改革は、同国のエネルギー産業の開発に重大な影響を与えるであろう。この特集は、当該改革が、メキシコの発電分野及び広域経済のみならず、同国の石油天然ガスの上流分野に与える潜在的な影響を評価し、急速なインテグレーションが進む北米のエネルギー市場との関連で、メキシコが取り得る選択肢を考察する予定である。」として、メキシコのエネルギー改革を高く評価している。
2 メキシコのエネルギー事業を巡る直近の法改正について
IEAの紹介文に記載されている包括的なエネルギー改革の法改正は、以下の3つの段階にて順次実施された。
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