◇SH0699◇インドネシア:ネガティブリストの改正 福井信雄(2016/06/16)

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インドネシア:ネガティブリストの改正

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 福 井 信 雄

 

 去る2016年5月12日、インドネシアの外資規制業種を定めるネガティブリスト(大統領令2016年第44号)が2年ぶりに改正され、同月18日付で施行された。ジョコ・ウィドド政権下で初となる今回のネガティブリストの改正は、2016年2月の経済政策パッケージ第10弾で公表された内容に概ね沿ったものであった。前回のネガティブリストの改正(2014年4月)が外資規制強化の方向で改正されたのに対して、今回は全体的に規制緩和の方向で改正がなされたと評価でき、ここ数年落ち込んでいた外資による新規の投資が再び増加に転じることが期待される。

 ネガティブリストにおいて課される外資規制には、①外資出資比率の上限規制、②国内の中小零細企業との間でパートナーシップ関係の締結、③事業地域に関する制限、④監督官庁からの特別許可等幾つかの種類があるところ、そのうち大半の分野に課される外資規制は①の外資出資比率の上限規制である。そこで本稿では、今回の改正により外資出資比率の上限が緩和された事業分野のうち、外国投資家の観点から関心が高いと思われるものを以下に紹介する。

旧ネガティブリストによる出資比率上限

新ネガティブリストによる出資比率上限

事業分野

0%
(参入不可)

49%

高圧・超高圧の電力利用設備の据付け、陸上旅客運送

67%

400㎡以上2,000㎡未満のデパート業(但し、ショッピングモールのなかに入居していること)

100%

映画配給を含む映画産業、一定の電子商取引業(下記参照)

33%

67%

生産系列にない卸売業(下記参照)、倉庫業

100%

冷蔵倉庫業

49%

67%

職業訓練事業、旅行代理店業、ゴルフ場事業、空運サポートサービス業など

100%

スポーツセンター、フィルム加工施設、バー、カフェなど

51%

67%

私設博物館、ケータリングサービス、MICE(打合せ・報奨旅行・会議・展示会の企画)サービスなど

100%

レストラン

55%

67%

工事金額100億ルピア超の一定の建設ビジネス・コンサルティングサービスなど

65%

67%

通信サービスと統合した通信網の運営など

85%

100%

薬品原料産業

95%

100%

高速道路事業、通信装置試験機関設立、無害廃棄物の管理・廃棄など

 上記の改正のなかでも特に注目されるのは、倉庫業、卸売業、小売業(電子商取引業や一定面積を有するデパート業)といった流通販売事業に対する外資規制緩和である。

 倉庫業及び生産系列にない卸売業(=インドネシアに製造子会社を持たない外国企業が設立する卸売会社)は、外資の出資比率の上限が33%から67%に増えたことで外資が3分の2を保有することができるようになった。さらに、冷凍倉庫業及び製造拠点をインドネシア国内に有する外国企業による販売会社の設立は100%の外資による出資が認められた。なお、物流事業については今回規制緩和の対象とはならず、これまで同様外出資比率49%が上限とされている。

 また、インドネシアで伝統的に外資の参入を認めてこなかった分野の一つが小売業である。この分野は、国内の中小零細の小売業者の保護の要請が強く働いてきたことから政策的に外国企業の参入を認めることに特に消極的であった。その傾向は依然維持されているものの、今回のネガティブリストにおいて、飲食品及び日用品(例えば、食品、飲料、たばこ、日用化学品、日用医薬品、化粧品、繊維製品、衣料品、靴、家庭・台所用品等)を扱う電子商取引業(インターネット等を通じた小売業)については、インドネシア国内の中小零細企業等とのパートナーシップを条件に、外資に対して100%開放した。また、従前大規模小売業として2,000㎡以上の床面積を有する場合のみ許容されていたデパート業が、400㎡以上2,000㎡以下の床面積を有するデパート業に関しては、ショッピングモールのなかに入居していること等を条件に外資が67%まで保有できる事業とされた。

 

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