◇SH0726◇企業内弁護士の多様なあり方(第26回) -第10「仕事の段階」(上) 真銅孝典(2016/07/06)

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企業内弁護士の多様なあり方(第26回)

-「仕事の段階」(判断、執行)(上)

オリックス不動産株式会社

弁護士 真 銅 孝 典

第10 企業内弁護士の「仕事の段階」(判断、執行) (上)

1 はじめに

 企業内弁護士にも、法務担当役員(ゼネラル・カウンセルを含む)、管理職型弁護士(※1)、一般従業員型弁護士等の様々な類型があり、それぞれの立場によって、仕事の判断、執行の権限の範囲も大きく異なってくる。本稿では、企業内弁護士のうち、相当数(※2)を占める一般従業員型弁護士を中心として若干述べる。なお、本稿については、筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織としての意見ではないことをお断りしておく。

  1. (※1) 近年は、管理職業務を行いつつ、自らも一担当者として職務を遂行する、いわゆるプレイングマネジャー型の企業内弁護士が増えている。
  2. (※2) 日本組織内弁護士協会の2016年アンケート調査では、回答者の63%が「一般従業員」と回答している。

2 一般従業員型弁護士の判断、執行

(1) 所属部門の権限との関係

 一般従業員型弁護士(特に経験年数の浅い弁護士を想定している)の判断、執行については、所属企業における所属部門の権限と無関係ではない。多くの一般従業員型弁護士が法務部門に所属しているので、法務部門を念頭に考えてみると、各業界・各企業における法務部門の位置付けは様々であって一律の取扱いをすることはできないのが現状である。

 例えば、一定の重要な契約について法務部門のチェックが規則化されているが、それ以外の契約は主としてリーガルアドバイザー的な役割のみ与えられている場合であれば、営業部門からの契約の相談があれば対応するが、そうでなければ対応しないという不統一な扱いとなる(もちろん、社内における法務部門への信頼が高く事実上チェックが必要になっている場合はある)。一方、社内規則上、法務部門の権限が明確に定められ、多くの契約について法務部門による契約審査が義務付けられている場合には、当該規則に基づき権限を行使する権利と義務が生じ、その責任もより明確になってくる。このように所属部門の権限の範囲が、一般従業員型弁護士の判断、執行の範囲に大きな影響を与えることになる。

(2) 所属部内における自己の職位との関係

 特に大企業において、多くの一般従業員型弁護士は、「法律専門家としての弁護士」としての役割よりも「企業法務担当者」としての役割を期待されているケースが多いので、その判断、執行について、法曹資格を有しない企業法務担当者との顕著な差異はあまり見られないケースが多い。つまり、一般従業員型弁護士には、弁護士としての実務経験がないか少ない状態で企業内弁護士になっているケースが多いことから、その判断、執行の裁量は、所属企業における通常従業員の職位に応じたものになっているものと考えられ、担当案件における裁量は大きいものではない。特に、新人系の一般従業員型弁護士については、部外への発信について、上席者の許諾を得て行う等その裁量は限定されることになる。

 (以下、次号)

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