中企庁、「価格交渉ノウハウ・ハンドブック」と「事例集」を改訂
――下請法運用基準、振興基準等の改正を受けて
中小企業庁は、1月27日、「価格交渉ノウハウ・ハンドブック」と「事例集」を改訂した。同庁では、価格転嫁など取引条件の改善が進まず厳しい状況にある下請等中小企業の価格交渉力強化を支援するため、平成28年6月10日にハンドブックと事例集を作成していたが、12月に行った下請法の「運用基準」、下請振興法の「振興基準」などの改正を受け(後掲◇SH0952◇中小事業者の取引条件の改善に向けた下請法等の運用強化の動き(2017/01/05)参照)、改訂を行ったものである。
中企庁では、ハンドブック等によるセミナーの開催、個別企業への指導を行うことで、価格交渉ノウハウの普及に取り組むこととしている。
改訂されたハンドブックの内容をみると、「2 こんな取引条件に要注意!!」では、「具体的な問題行為の理解」のために、実際の交渉の場面で具体的に問題となり得る下記の取引行為12類型を掲げ、チェックポイント、対応の方向性、具体的なノウハウの参照先(ハンドブック第3章の関連箇所)を紹介している。なお、この12類型が「事例集」にもまとめられている。
- • 合理的な説明のない価格低減要請
- • 原材料価格、エネルギーコスト、労務費などの上昇の取引価格への反映
- • 型の無償での保管・管理
- • 量産品と同じ単価での補給品販売の要請
- • 大量発注を前提とした単価設定
- • 合理的な理由のない指値発注
- • 発注者が負担すべきコストの受注者負担
- • 割引困難な長期手形の交付
- • 製品の図面などの技術情報の無償提供
- • 事後的な仕様変更・工程追加に要する費用の受注者負担
- • 発注者の都合による受領拒否
- • 従業員派遣や自社商品購入の強要
「3 受注者のための価格交渉ノウハウ」では、「上手な価格交渉方法の理解」に向け、価格交渉を成功させるための具体的なノウハウ・テクニック等をケースごとに記載している。
- • 価格根拠を上手に伝えましょう(原材料価格、エネルギーコストや労務費などの上昇分を価格に転嫁したい場合、発注者による価格低減要請・指値発注に対し、適正価格を設定したい場合)
- • 取引条件に関するルールを決めましょう(外的環境の変化に伴って価格を再設定したい場合、発注者側の都合による取引条件変更に伴って価格を再設定したい場合、量産終了後の取引条件を改善したい場合、製品の図面などの技術情報の無償提供による不利益を避けたい場合、割引困難な手形の交付を避けたい場合、その他)
- • 取り決めたルールや交渉経緯を書面に残しましょう
「4 あなたの会社を守る法律・ガイドライン」では、「関連法規の概観把握」のために、価格交渉に関連する法規などについての概略を説明している。
「5 困った!そんな時の相談先」では、「価格交渉に関連する相談先の認識」として、親事業者との取引に関する疑問・悩みなどについて相談可能な機関を掲載している。
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○ 中企庁、下請取引のル-ルの強化に伴い「価格交渉ノウハウ・ハンドブック」及び「事例集」を改訂(1月27日)
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2017/170127support.htm -
○ 価格交渉事例集
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2016/160610support1.pdf -
○ 中小企業・小規模事業者のための価格交渉ノウハウ・ハンドブック
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2016/160610support2.pdf
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◇SH0952◇中小事業者の取引条件の改善に向けた下請法等の運用強化の動き(2017/01/05)
https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=2714582