銀行員30年、弁護士20年
第25回 委員会活動
弁護士 浜 中 善 彦
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弁護士会には、日弁連と各単位会ごとに各種委員会がある。委員会は、人権擁護、司法制度改革、法律相談その他多数ある。委員会は、司法に対する国民のニーズの変化や弁護士の活動領域の拡大等に伴って様々な分野で増える傾向にある。高齢者問題や法律扶助制度等に関する委員会はその例である。
委員会活動は無償であるが、弁護士と弁護士会にとってはきわめて重要な業務である。しかし、残念なことに、委員会活動については全く無関心な弁護士も少なくないため、多重債務者ならぬ多重会務者と呼ばれるような現象が起きている。
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私は、所属する第二東京弁護士会では、司法制度改革や業務改善委員会等のいくつかの委員の経験をしたが、現在は、日弁連の債権回収会社に関する委員会(サービサー委員会)委員だけである。
サービサー委員会は、平成10年10月に弁護士法の特別措置法として「債権管理回収業に関する法律」が制定され、翌年2月1日から公布されたことに伴って設立された委員会である。私は、それまでの場合と違ってサービサー委員会委員を希望したことはないのに委員に選任された。後でわかったことであるが、平成14年6月号の二弁の機関紙「NIBEN Frontier」の編集委員から頼まれて原稿を書いた時の編集委員長が、後に、女性として初めて大都市単位会の女性委員長として二弁の会長に就任した高木佳子弁護士の推薦だったらしい。というのは、その原稿のなかで、弁護士会は、業界利益を守るための「反対」はやめるべきであるとして、サービサー法導入の際の弁護士会の反対意見に対して次のとおり書いた。
たとえば、サービサー法の導入が問題になったとき、弁護士法72条、73条に違反し、職域を侵すので認めるべきでないという議論が大真面目に主張された。しかし、60兆円を超える不良債権処理をどうするかが問題となっており、日本が沈もうかというときに、弁護士の利益保護を優先する感覚は理解できなかった。60兆円もの不良債権を、2万人足らずの弁護士でどうやって処理するというのか。
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その後、平成17年6月から19年5月までの2年間委員長を務めた。
その間、サービサー法改正が問題となり、日弁連とサービサー協会とで厳しい意見の対立があり、その間、当時の日弁連のサービサー委員会担当副会長に同道して4回自民党本部へ行った。その時は、取扱債権の特定金銭債権をポジティブクローズからネガティブクローズにすること、サービサー法を弁護士法の特例措置法から銀行法等と同じく業法に格上げすることが主要な争点であった。法務省の仲介もあって、特定金銭債権の種類を拡大することで決着がついた。しかし、改正案は政権交代のため、廃案になって改正は実現しなかった。そのほか、任期中に初めて、サービサー会社が法務省の行政指導の対象となり、同社の取締役弁護士の懲戒の是非が問題となり、推薦した二弁理事会では賛否両論あったが立件することとなり、懲戒委員会で業務停止2カ月の厳しい処分となった。
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委員会活動は文字通りボランティア活動であり、本来業務との両立は結構負担になるが、本来業務ではできない体験をすることができるほか、多くの優れた弁護士と交友関係ができるなど、本来業務だけでは得られない貴重な経験をすることができる。なお、私の後任の委員長は小野傑弁護士であった。
以上