◇SH3470◇インドネシア:オムニバス法の制定(7)〜労務分野への影響③ 福井信雄 小林亜維子(2021/02/03)

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インドネシア:オムニバス法の制定(7)〜労務分野への影響③

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 福 井 信 雄
弁護士 小 林 亜維子

 

本稿では前稿に引き続き、オムニバス法の労務分野への影響について紹介する。

 

4.アウトソーシング(外部労働力の利用)

 インドネシアでは過去に業務委託や派遣労働といった形態で、外部労働力が不当に廉価に利用されていた実態を踏まえてアウトソーシングに対しては厳格な規制を設けていたが、オムニバス法により、業務委託については労働関連法の規制の対象外とした。また、派遣労働についても、派遣労働者に従事させることのできる業務の制限が廃止され、雇用主は今後広くアウトソーシングを利用できるようになることが見込まれる。オムニバス法によるアウトソーシングに関する主要な改正点は以下の通りである。

 

  改正前 改正後
業務委託
  1.  • 業務委託することが認められる業務は以下の全てを満たすものに限られている。

    1. ① 主要な業務ではない業務
    2. ② 業務委託者からの直接又は間接的な指示により実施される業務
    3. ③ 補助的業務
    4. ④ 生産工程を直接的に妨げるものでない業務
  1.  • 労働関連法から規定を削除し、労働関連法の対象外とし、業務委託可能な業務への制限を廃止した。
派遣労働
  1.  • 派遣労働者に従事されることのできる業務は、以下に限られている。

    1. ① 清掃
    2. ② ケータリング
    3. ③ 警備
    4. ④ 鉱業・石油事業における補助業務
    5. ⑤ 労働者の送迎
  1.  • 派遣労働に従事させることのできる業務を限定する規定を削除した。

 

5.外国人労働者の雇用

 オムニバス法は、外国人労働者を雇用する際に必要な手続について、以下の通り改正した。大きな変更はないものの、従来は施行規則において定められていた例外部分について、オムニバス法は確認及び修正したものといえる。

  改正前 改正後
手 続 会社は、外国人労働者を雇用する場合には、外国人雇用計画書(RPTKA)について当局から承認を得る必要がある。
  1.  • 会社は、外国人労働者を雇用する場合には、RPTKAについて当局にから承認を得る必要があるが、以下の外国人労働者については、RPTKAが不要となる。

    1. ① 当該会社の株式を一定数保有する取締役又はコミサリス
    2. ② 外国の代表事務所の大使館及び領事館の職員
    3. ③ 緊急事態により停止した生産活動、職業訓練、技術をベースとしたスタートアップ、商用訪問、特定期間の調査のための外国人労働者
  2.  • ①及び②については、オムニバス法制定以前より、労働省規則においてRPTKAが免除されていた(①について、取締役及びコミサリスが保有する株式数に関する規定はなかった。)が、オムニバス法はこれを確認及び修正する形をとった。

 


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(ふくい・のぶお)

2001年 東京大学法学部卒業。 2003年 弁護士登録(第一東京弁護士会)。 2009年 Duke University School of Law卒業(LL.M. )。 2009年~2010年 Haynes and Boone LLP(Dallas)勤務。
2010年~2013年10月 Widyawan & Partners(Jakarta)勤務。 2013年11月~長島・大野・常松法律事務所 シンガポール・オフィス勤務。 現在はシンガポールを拠点とし、インドネシアを中心とする東南アジア各国への日本企業の事業進出や現地企業の買収、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務アドバイスを行っている。

 

(こばやし・あいこ)

2007年同志社大学法学部法律学科卒業。2009年京都大学法科大学院修了。2010年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2016年Stanford Law School卒業(LL.M.)。2017年から2018年まで長島・大野・常松法律事務所ジャカルタ・デスク(Soemadipradja & Taher内)勤務。現在は東京オフィスにて、日本企業によるインドネシアへの事業進出及び資本投資その他の企業活動に関する法務サポートを含む国内外の企業法務全般に従事している。

 

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