◇SH1243◇国税庁、「移転価格ガイドブック〜自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて〜」を公表(2017/06/19)

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国税庁、「移転価格ガイドブック〜自発的な税務コンプライアンスの
維持・向上に向けて〜」を公表

−−国税庁の取組みの紹介や、設例により移転価格税制の適用において検討・留意する事項を示す−−

 

 国税庁は、6月9日、「移転価格ガイドブック〜自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて〜」を公表した。

 移転価格税制については、OECDの「BEPS(租税浸食と利益移転)プロジェクト」の進展等のグローバルな関心の高まりや、移転価格文書化制度の整備等の環境変化が進み、本年4月からは、企業によるローカルファイルの作成等が本格化しているところである。

 そこで国税庁では、移転価格税制に関する納税者の自発的な税務コンプライアンスを高めることを目指し、事務運営(取組方針、具体的な施策)を見直すとともに、納税者の予測可能性や行政の透明性を向上させるため、今般、「ガイドブック」を取りまとめ、公表したものである。

 以下、ガイドブックの内容を概観する。

 

Ⅰ 移転価格に関する国税庁の取組方針〜移転価格文書化制度の整備を踏まえた今後の方針と取組

 多国籍企業をはじめとした大企業に対する取組みを中心として、国税庁の移転価格税制に関する取組方針を示すとともに、個別照会に係る相談等への積極的対応、企業が来訪する相談窓口の新設、OECD租税委員会における外国税務当局への対応など、今年7月から新たに導入する施策を含めた、国税庁の具体的な取組みを紹介している。

 このうち、移転価格税制に関する具体的な取組みについては、

  1. ⑴ 同時文書化対象取引に関する個別照会への対応
  2. ⑵ 移転価格文書化制度に関する指導、助言等のための企業訪問の実施
  3. ⑶ 移転価格税制の適用基準の明確化と納税者の自主的な検討に資する情報の発信
  4. ⑷ 事前確認の適切な処理
  5. ⑸ TPCG(移転価格上の税務コンプライアンスの維持・向上に向けた取組み)の実施
  6. ⑹ 移転価格調査の適切な実施
  7. ⑺ 各国の税務当局によるCbC レポートの適切な使用等に向けた対応

を紹介している。

 

Ⅱ 移転価格税制の適用におけるポイント〜移転価格税制の実務において検討等を行う項目〜

 これまでの移転価格調査や事前確認審査の事例を参考として、具体的な設例を用いて、調査担当者の視点と納税者の視点を比較しつつ、移転価格税制の適用において検討等を行う項目や実務において留意することが望ましい事項を示している。

 本章の構成は下記のとおりである。

 1 国外関連者等の判定
   ⑴ 国外関連者
   ⑵ 国外関連取引
   ケース1 みなし国外関連取引(第三者を経由する取引)

 2 移転価格税制上の問題の有無の検討
   ケース2 価格設定
   ケース3 利益水準
   ケース4 利益配分

 3 機能・リスクに関する検討
   ケース5 機能・リスク分析(国外関連者の行う品質管理業務等)
   ケース6 機能・リスク分析(独自の販売機能)
   ケース7 機能・リスク分析(独自の販売機能)

 4 取引単位に関する検討
   ケース8 取引単位(棚卸取引と無形資産取引)
   ケース9 取引単位(国外関連者から複数の棚卸資産を購入するケース)
   ケース10 取引単位(国外関連者から複数の棚卸資産を購入するケース)

 5 独立企業間価格の算定方法に関する検討
   ⑴ 独立企業間価格の算定方法の選定
   ⑵ 検証対象法人の決定
   ⑶ 利益指標の選定
   ケース11 独立価格比準法の適用
   ケース12 原価基準法に準ずる方法と同等の方法の適用

 6 比較対象取引に関する検討
   ケース13 比較対象取引の選定(定量的基準)
   ケース14 比較対象取引の選定(定性的基準)

 7 差異の調整に関する検討

 8 利益分割法における分割要因に関する検討

 9 事前確認における主な留意点(事前相談の重要性等)
   ケース15 事前確認の更新の申出に係る事前相談
   ケース16 残余利益分割法による事前確認の申出
   ケース17 移転価格調査中における事前確認に係る事前相談
   ケース18 取引の実績値が得られない事前確認の申出

 

Ⅲ 同時文書化対応ガイド〜ローカルファイルの作成サンプル〜

 これまでに国税庁ホームページで公表してきた「移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし」、「独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)作成に当たっての例示集」等を補完するものとして、仮想の企業が国外関連取引を行う例を用いながら、企業が作成するローカルファイルの全体像と記載事項がわかるサンプル(作成例)を示している。

 

  1. ○ 国税庁、移転価格ガイドブック〜自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて〜(6月9日)
    http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/kakaku_guide/index.htm
  2.  
  3. 「移転価格ガイドブック 〜自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて〜」の概要
    http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/kakaku_guide/pdf/gaiyou.pdf
  4. 「移転価格ガイドブック 〜自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて〜」(一括ダウンロード)
    http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/kakaku_guide/pdf/ikkatsu.pdf
  5. 「I 移転価格に関する国税庁の取組方針〜移転価格文書化制度の整備を踏まえた今後の方針と取組〜」
    http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/kakaku_guide/pdf/takokuseki_01.pdf
  6. 「II 移転価格税制の適用におけるポイント〜移転価格税制の実務において検討等を行う項目〜」
    http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/kakaku_guide/pdf/takokuseki_02.pdf
  7. 「III 同時文書化対応ガイド〜ローカルファイルの作成サンプル〜」
    http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/kakaku_guide/pdf/takokuseki_03.pdf

 

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