法務省、「民事執行法の改正に関する中間試案」につきパブリック・コメントを開始
--債務者財産の開示制度の実効性の向上、子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化等--
法務省は9月29日、「民事執行法の改正に関する中間試案」についてパブリック・コメントを開始した。11月10日まで意見を募集している。
民事執行法の改正については、平成28年9月12日開催の法制審議会第177回会議において、
- 「民事執行手続をめぐる諸事情に鑑み、債務者財産の開示制度の実効性を向上させ、不動産競売における暴力団員の買受けを防止し、子の引渡しの強制執行に関する規律を明確化するなど、民事執行法制の見直しを行う必要があると思われるので、その要綱を示されたい。」(諮問第102号)
との諮問がなされ、民事執行法部会(部会長=山本和彦・一橋大学大学院教授)が同年11月から検討を重ねてきた。
同部会では、諮問事項に挙げられた3つの課題に加えて、債権執行事件の終了をめぐる規律の見直しと、差押禁止債権をめぐる規律の見直しについても審議が行われた。
そして、本年9月8日に開催された同部会の第11回会議において、「民事執行法の改正に関する中間試案」が取りまとめられ、今般、事務当局(民事局参事官室)が「中間試案」の項目ごとに詳細な説明を加えて作成した「民事執行法の改正に関する中間試案の補足説明」とともに公表し、パブリック・コメントの手続に付したものである。
○「民事執行法の改正に関する中間試案」の項目
第1 債務者財産の開示制度の実効性の向上
1 現行の財産開示手続の見直し
(1) 財産開示手続の実施要件の見直し
(2) 手続違背に対する罰則の見直し
2 第三者から債務者財産に関する情報を取得する制度の新設
(1) 新たな制度の創設
(2) 制度の対象とする第三者と情報の具体的な範囲
(3) 第三者から情報を取得するための要件
(4) 回答の送付先等
(5) 第三者に対する費用等の支払
(6) 情報の保護
第2 不動産競売における暴力団員の買受け防止の方策
1 買受けを制限する者の範囲
2 執行裁判所の判断による暴力団員の買受けの制限
3 2の判断のための警察への照会
4 暴力団員に該当しないこと等の陳述
(1) 陳述の内容等
(2) 虚偽陳述に対する制裁
第3 子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化
1 直接的な強制執行の規律の明確化
2 直接的な強制執行と間接強制との関係(間接強制前置)
3 直接的な強制執行の手続の骨格
4 執行場所における執行官の権限等
5 直接的な強制執行の執行機関等
第4 債権執行事件の終了をめぐる規律の見直し
1 差押債権者が取立権を行使しない場面等における規律
2 その他の場面(債務者への差押命令等の送達未了)における規律
第5 差押禁止債権をめぐる規律の見直し
1 差押禁止の範囲の見直し
2 取立権の発生時期の見直し
3 その他(手続の教示)
第6 その他所要の措置
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法務省、「民事執行法の改正に関する中間試案」(平成29年9月8日)のとりまとめ(9月29日)
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900334.html -
○「民事執行法の改正に関する中間試案」
http://www.moj.go.jp/content/001237417.pdf -
○「民事執行法の改正に関する中間試案に関する補足説明」
http://www.moj.go.jp/content/001237418.pdf -
法制審議会民事執行法部会の開催状況等
http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_00295.html