◇SH1456◇みずほフィナンシャルグループ、顧問制度の概要の公表 鈴木智弘(2017/10/25)

未分類

みずほフィナンシャルグループ、顧問制度の概要の公表

岩田合同法律事務所

弁護士 鈴 木 智 弘

 

 株式会社みずほフィナンシャルグループ(以下「みずほFG」という。)は、平成29年10月16日、顧問制度の概要を発表した(以下「本発表」という。)。

 本発表は、東京証券取引所が、同年8月に「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(以下「CG報告書」という。)の記載要領を改訂してCG報告書における相談役・顧問等の開示制度を創設したこと(以下「本改訂」という。)や、経済産業省が同年3月に策定した「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」における開示に関する提言等を踏まえてなされたものである。

 みずほFGはコーポレート・ガバナンスに関して先進的な取組を行ってきたが、本発表もそのような先進的な取組の一つと捉えることができる。

 みずほFGが公表した顧問制度の概要は下記のとおりである。

 本改訂では、代表取締役等であった者が、取締役など会社法上の役員の地位を退いた後、引き続き、相談役や顧問など何らかの役職に就任している、又は何らか会社と関係する地位にある場合には、それぞれの者ごとに①氏名、②役職・地位、③業務内容、④勤務形態・条件(常勤・非常勤、報酬有無等)、⑤代表取締役社長等の退任日、⑥相談役・顧問等としての任期、⑦その合計人数等を開示することが求められている。

 本発表は、これら①から⑦を網羅した内容である。

 

 近頃、相談役や顧問に対する風当たりは強くなっている。現に、今年の株主総会で相談役・顧問制度を廃止する旨の定款変更を行った会社もみられる[1]

 他方で、今年6月の定時株主総会終了時をもって退任する取締役会長が、退任後2年間、相談役に就任することについて、株主への説明文書を配布した会社も存在する[2]。当該説明文書では、相談役の役割として、(ア)あくまでも現役の経営陣からの求めに応じてという前提で、相談役就任予定者のこれまでの経験や見識を基にしたアドバイスを提供すること、また、その多岐にわたる社外ネットワークにより当社に引き続き貢献すること、(イ)現在相談役就任予定者が当社を代表して就任している経済同友会等の外部団体の役職のうち、より公共性・重要性が高いと判断されるものについて、その任期満了まで、引き続き当社を代表してその任務にあたることの2点が挙げられている。

 本発表でも、顧問制度に関する社内規程において、「顧問は経済団体活動や社会貢献活動等を担い、経営には関与しないことを改めて明定」したことが明らかにされ、業務内容欄において各顧問が経営非関与である旨が記載されている。

 

 今般、相談役・顧問等の開示制度が創設され、相談役・顧問等の存在意義が改めて問われることになる。今後は、相談役・顧問等の制度の必要性と許容性を会社自らが積極的に示していくことが必要であり、みずほFGによる本発表は、相談役・顧問等をおく会社にとって大いに参考になるものと思われる。

 各社が相談役・顧問等についてどのような考え方を採り、どのような情報開示を行うのか、その動向が注目される。

以上



[1] 阪急阪神ホールディングス株式会社「第179回定時株主総会決議ご通知」決議事項(第2号議案)参照
  http://www.hankyu-hanshin.co.jp/file_sys/irRelatedInfo/263.pdf

[2] 武田薬品工業株式会社「第141回定時株主総会に関連する事項について」参照
  https://www.takeda.co.jp/investor-information/meeting/files/sm_141_03_jp.pdf

 

タイトルとURLをコピーしました