◇SH1648◇コインチェックにおける仮想通貨流出事件の推移(2018/02/16)

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コインチェックにおける仮想通貨流出事件の推移

−−流出から業務改善命令に係る報告書の提出まで−−

 

 仮想通貨交換業者のコインチェックは、1月26日、利用客から預かっている約580億円分の仮想通貨「NEM」が流出したことを公表した。同社では、保管する日本円および仮想通貨の出金等のサービスを停止して原因究明と安全確保を行う一方、流出したNEMの保有者に対しては補償を行う方針を明らかにしている。

 これに対し金融庁は、同社に報告を求める等の業務改善命令や立入検査等を行うほか、すべての仮想通貨交換業者に対して、システムリスク管理態勢に関する自己点検と点検結果についての報告徴求命令を発出した。

 また、コインチェックの利用者側では、被害対策弁護団や被害者の会が発足している。

 コインチェックは2月13日、金融庁に「業務改善命令に係る報告書」を提出するとともに、保管する日本円の出金を再開した。

 以下では、1月26日の流出発生から2月13日の「業務改善命令に係る報告書」の提出までの事態の推移について、公表資料を中心にして時系列的に紹介する。なお、以下の項目のうち、●はコインチェックによる公表内容、○はそれ以外の動向である。

 

  1. ● コインチェック、Coincheckサービスにおける一部機能の停止について(1月26日)
    http://corporate.coincheck.com/2018/01/26/29.html
  2.    コインチェック株式会社が運営する仮想通貨取引所サービス「Coincheck」におきまして、一部機能の停止に至る事象が発生致しました。本事象に伴い、お客様、取引先、関係者の皆様にご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
  3. 《事象・原因》
     当社にて保有しているNEMが不正に外部へ送金されたものでございます。原因に関しましては、現在究明中でございます。また、日本円を含めその他の通貨に同様の事象は確認されておりません。
  4. 《再発防止策》
     現在、原因究明を最優先としております。原因が判明次第、早急に再発防止策を講じて参ります。
     
  5. ○ 金融庁、仮想通貨の不正流出を踏まえ、仮想通貨交換業者およびみなし仮想通貨交換業者に対し、不正アクセスに関する注意喚起(1月26日)
     
  6. ● コインチェック、不正に送金された仮想通貨NEMの保有者に対する補償方針について(1月28日)
    http://corporate.coincheck.com/2018/01/28/30.html
  7.    コインチェック株式会社が運営する仮想通貨取引所サービス「Coincheck」において発生した仮想通貨NEMの不正送金に伴い、対象となる約26万人のNEMの保有者に対し、以下の通り、補償方針を決定いたしましたので、お知らせいたします。
  8. 《1月26日に不正送金されたNEMの補償について》
  9. 総額:5億2300万XEM
  10. 保有者数:約26万人
  11. 補償方法:NEMの保有者全員に、日本円でコインチェックウォレットに返金いたします。
  12. 算出方法:NEMの取扱高が国内外含め最も多いテックビューロ株式会社の運営する仮想通貨取引所ZaifのXEM/JPY(NEM/JPY)を参考にし、出来高の加重平均を使って価格を算出いたします。算出期間は、CoincheckにおけるNEMの売買停止時から本リリース時までの加重平均の価格で、JPYにて返金いたします。
  13. 算出期間:売買停止時(2018/01/26 12:09 日本時間)〜本リリース配信時(2018/01/27 23:00 日本時間)
  14. 補償金額:88.549円×保有数
  15. 補償時期等:補償時期や手続きの方法に関しましては、現在検討中です。なお、返金原資については自己資金より実施させていただきます。
  16.    今般の不正送金に伴い、一部サービスの停止などお客様、取引先、関係者の皆様にご迷惑をおかけしており、重ねてお詫び申し上げます。原因究明、セキュリティ体制の強化などを含めたサービスの再開に尽力するとともに、金融庁への仮想通貨交換業者の登録申請の継続的な取り組みも併せて、今後も事業を継続して参りますので、引き続き、宜しくお願い申し上げます。
  17.  
  18. ○ 金融庁、コインチェック株式会社に対する行政処分について(1月29日)
    http://www.fsa.go.jp/news/30/virtual_currency/kasoutuka.html
  19. 1. コインチェック株式会社(本店:東京都渋谷区、法人番号1010001148860、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)附則第8条に基づく仮想通貨交換業者)(以下、「当社」という。)においては、平成30年1月26日(金)に当社が保有していた仮想通貨(NEM)が不正に外部へ送信され、顧客からの預かり資産5億2,300万XEMが流出するという事故が発生した。
     これを踏まえ、同日(26日(金))、同法第63条の15第1項の規定に基づく報告を求めたところ、発生原因の究明や顧客への対応、再発防止策等に関し、不十分なことが認められた。
  20. 2. このため、本日、同社に対し、同法第63条の16の規定に基づき、下記の内容の業務改善命令を発出した。
    (1) 本事案の事実関係及び原因の究明
    (2) 顧客への適切な対応
    (3) システムリスク管理態勢にかかる経営管理態勢の強化及び責任の所在の明確化
    (4) 実効性あるシステムリスク管理態勢の構築及び再発防止策の策定等
    (5) 上記(1)から(4)までについて、平成30年2月13日(火)までに、書面で報告すること。
  21.  
  22. ● コインチェック、当社に対する金融庁の業務改善命令について(1月29日)
    http://corporate.coincheck.com/2018/01/29/32.html
  23.    コインチェック株式会社は、このほど発生した不正アクセスによる仮想通貨NEMの不正送金に関連し、本日、金融庁から資金決済に関する法律第63条の16に基づく業務改善命令を受けました。
     当社では、今回の措置を厳粛かつ真摯に受け止め、深く反省するとともに、早期に、事案の事実関係と原因究明、お客様の保護、システムリスク管理態勢にかかる経営管理態勢の強化ならびに、実効性あるシステムリスク管理態勢の構築及び再発防止策の策定を進めていく所存です。
     改めまして、お客様をはじめとする関係者の皆様に、多大なご迷惑、ご心配をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。また、今後、策定する改善策を着実に実施することにより、お客様の信頼回復に向け、最善の努力をしてまいります。
  24.  
  25. ● コインチェック、出金再開の予定につきまして(1月30日)
    http://corporate.coincheck.com/2018/01/30/34.html
  26.    現在のCoincheckサービスにおける「出金」の一時停止につきましては、当社が自主的に行っている措置でございます。また、再開に伴う安全性等が当社にて確認され次第、再開を予定しております。数日中にも見通しをお知らせいたしますため、今暫くお待ちくださいますようお願い申し上げます。
     この度はご迷惑をおかけいたしまして、申し訳ございません。
     何卒、よろしくお願い申し上げます。
     
  27. ○ 金融庁、仮想通貨交換業者およびみなし仮想通貨交換業者に対し、仮想通貨交換業者に対するシステムリスク管理態勢に関する自己点検を行い、すみやかに点検結果を報告するよう要請(1月30日)→2月1日に改めて報告徴求命令(次項参照)
    http://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/08.pdf
  28.  
  29. ○ 金融庁、コインチェック以外の仮想通貨交換業者およびみなし仮想通貨交換業者に対し、改正資金決済法に基づき、システムリスク管理態勢に関する報告徴求命令を発出(2月1日)
  30.  
  31. ○ 金融庁、コインチェックに改正資金決済法に基づく立入検査(2月2日)
    http://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/09.pdf
  32.  
  33. ○ コインチェック被害対策弁護団が発足(1月30日)、ホームページで「よくある質問」のページを公開(2月2日)
    https://www.ccbengo.jp/faq.html
  34.  
  35. ○ コインチェック被害者の会が発足(2月3日)
  36.  
  37. ● コインチェック、日本円出金の再開の見通しについて(2月3日)
    http://corporate.coincheck.com/2018/02/03/37.html
  38.    2018年1月30日付のリリースでご案内をしております通り、当社では現在、日本円出金に伴う技術的な安全性等について、確認・検証中であり、再開に向けた準備を進めております。外部専門家の協力も得つつ行っている確認・検証を踏まえ、皆様には日本円出金の再開時期をお知らせいたします。
     なお、お客様がアカウントに保有している日本円につきましては、金融機関の顧客専用口座に保全されております。また、お客様がアカウントに保有している仮想通貨(BTC/ETH/ETC/LSK/FCT/XMR/REP/XRP/ZEC/LTC/DASH/BCH)につきましても、ホットウォレットから退避し、コールドウォレット等に保管しております。
     今しばらくご迷惑をおかけいたしますが、何卒、よろしくお願い申し上げます。
  39.  
  40. ○ コインチェックの顧客が仮想通貨の購入費用の返還を求める訴訟を東京簡裁に提起したことが明らかになる(2月5日)
  41.  
  42. ○ コインチェック被害対策弁護団、「コインチェック事件について」を公開(2月7日)
    https://www.ccbengo.jp/about.html
  43.  
  44. ○ コインチェック被害対策弁護団、「コインチェック被害対策弁護団からのお知らせ第1号(2月5日)」を公開(2月7日)
    https://www.ccbengo.jp/report01.html
  45.  
  46. ○ コインチェック社事案に関する3省庁(警察庁・金融庁・消費者庁)局長級連絡会議の開催(2月9日)
    http://www.fsa.go.jp/news/29/20180209.html
  47.    本日、コインチェック社が外部より不正アクセスを受け、当社が管理する仮想通貨が外部に流出した問題に関して、警察庁・金融庁・消費者庁は、さらなる連携強化に向け、局長級の3省庁連絡会議を開催しました。
     具体的には、本事案に対するこれまでの3省庁の対応、利用者保護に向けた取組み、コインチェック社以外の仮想通貨交換業者やみなし仮想通貨交換業者への対応、無登録業者への対応等について、意見交換を実施しました。
  48.  
  49. ● コインチェック、日本円出金再開のお知らせ(2月9日)
    http://http://corporate.coincheck.com/2018/02/09/38.html
  50.    このたび、お客様の資産保護ならびに原因究明のため一時停止としております日本円出金機能につきまして、外部専門家による協力のもと技術的な安全性の確認を完了いたしました。これを受け、再開に向けた今後の予定をお知らせいたします。
  51. 《日本円出金再開について》
     現在、お客様の日本円の資産は金融機関の顧客専用口座にて安全に管理されております。これより当社にて出金に係る業務を再開し、下記の再開日以降、順次出金を再開してまいります。
  52. 再開日:2018年2月13日
  53. 対象通貨:日本円
  54. ・ 本件はお客様が保有する日本円の出金に関するご案内です。NEMの不正送金に係る補償の支払いではございません。
  55. ・ 出金処理は申請をいただいている順にて対応いたします。このため、ご指定口座への着金までお時間を頂戴する場合がございます。
  56. ・ 当社にて申請内容の確認が必要と判断した場合、別途お客様へご連絡をさせていただく場合がございます。
  57. ・ 現時点で判明していない問題等が確認された場合、予告なく再開を見合わせることがございます。
  58.    仮想通貨の出金および出金以外の機能につきましても技術的な安全性等の確認・検証を行なっておりますため、当社にて安全性が確認でき次第再開をしてまいります。詳細に関しましては、見通しがつき次第お知らせをいたします。
     この度はご迷惑をお掛けいたしまして申し訳ございません。何卒、よろしくお願い申し上げます。
  59.  
  60. ● コインチェック、業務改善命令に係る報告書提出のご報告(2月13日)
    http://corporate.coincheck.com/2018/02/13/39.html
  61.    本日、コインチェック株式会社は、このほど発生した不正アクセスによる仮想通貨NEMの不正送金に関連して金融庁より受けております業務改善命令に係る報告書を提出いたしましたことをご報告いたします。
     報告内容は、業務改善命令において指摘されておりました、(1)本事案の事実関係及び原因の究明 、(2)顧客への適切な対応、(3)システム管理態勢にかかる経営管理態勢の強化及び責任の所在の明確化、(4)実効性あるシステムリスク管理態勢の構築及び再発防止策の策定、などについてとなります。
     弊社といたしましては、引き続き着実に改善策を実施してまいります。また、1日も早く補償金のお支払いやお預かりしている仮想通貨の送金をすることができるようシステムの安全性の確認を進めております。
     改めまして、お客様をはじめとする関係者の皆様に、多大なご迷惑、ご心配をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。今後、策定する改善策を着実に実施することにより、お客様の信頼回復に向け、最善の努力をしてまいります。

 

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