メタバースをめぐる法的課題への対応に関する官民連携会議の動向(続報③)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 中 島 滉 平
1 はじめに
「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議」(以下「本官民連携会議」という。)では、昨年11月以降、3つの分科会において、それぞれメタバースをめぐる法的課題について議論が進められ、本年3月16日に、各分科会の論点整理案が公表された。本稿では、筆者らによる前稿までの全三稿[1]の続報として、第一分科会および第二分科会の論点整理案を紹介する。
2 論点整理案(第一分科会)
第一分科会では、「仮想空間における知財利用と権利者の保護」と「メタバース上の著作物利用等にかかる権利処理」に大別し、前者では、現実空間の権利者の権利等について、後者では、メタバース上での著作権等の処理について、それぞれ課題とその対応策が整理された。
以下では、紙幅の関係上、これらの課題に関する論点整理案の一部を概説する。
仮想空間における知財利用と権利者の保護 | ||
課題1-1 現実空間のデザインの仮想空間における模倣、現実空間と仮想空間を横断した実用品デザインの活用 |
課題1-2 現実空間の標識の仮想空間における無断使用 |
課題1-3 現実空間の外観の仮想空間における再現 |
メタバース上の著作物利用等にかかる権利処理 | |||
課題2-1 メタバース上のイベント等における著作物のライセンス利用 |
課題2-2 仮想空間におけるユーザーの創作活動 |
課題2-3① NFT等を活用した仮想オブジェクトの取引 ①仮想オブジェクトの「保有」 |
課題2-3② NFT等を活用した仮想オブジェクトの取引 ②NFT等を活用した仮想オブジェクトの二次流通等 |
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(なかしま・こうへい)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2020年早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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