SH4767 公開買付制度・大量保有報告制度等 ワーキング・グループ報告の公表 菅隆浩/稲村将吾(2024/01/15)

組織法務M&A・組織再編(買収防衛含む)

公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ報告の公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 菅   隆 浩

弁護士 稲 村 将 吾

 

 2023年12月25日付で、金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」(以下「WG」という。)は、公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ報告(以下「WG報告」という。)[1]を公表した。報道によれば、金融庁は2024年の通常国会への金融商品取引法改正案の提出と政府令の整備を目指すとされている。

 以下では、WG報告のうち、公開買付制度および大量保有報告制度への変更点を中心に紹介する。

 

1 公開買付制度

⑴ 3分の1ルールの閾値

 現行の義務的公開買付けの1類型である3分の1ルールは、「3分の1を超える株式の取得が(株主総会の特別決議の拒否権を有するという意味において)支配権の移転を伴う取引である」という考えを背景にしている。

 WGでは、諸外国の公開買付制度における閾値(英国・ドイツ・フランスは30%)、日本の上場会社の議決権行使割合(下記の図を参照)を前提とした特別決議の拒否権を事実上確保できる水準、3分の1よりも低い数値であっても普通決議に重大な影響を及ぼし得るものであることを考慮し、3分の1ルールの閾値を30%に引き下げることが適当と結論づけている。

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(すが・たかひろ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業スペシャル・カウンセル。2009年 京都大学法科大学院卒業。2010年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2014年7月~2015年6月 外資系証券会社投資銀行本部出向勤務。2016年8月~2017年5月米国University of California, Berkeley, School of Law (LL.M.)へ留学。

 

(いなむら・しょうご)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2014年創価大学法学部卒業。2017年東京大学法科大学院卒業。2019年弁護士登録(第二東京弁護士会)。

 

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

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