脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案、衆院で参院修正部分に同意し、(2023年5月12日)成立
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士 宮 川 賢 司
弁護士 藤 木 崇
弁護士 藏 野 舞
1 はじめに
2023年5月12日、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(以下「法」または「GX推進法」という。)が衆議院を賛成多数で可決したことにより成立した。
パリ協定や第6次エネルギー基本計画でうたわれている温室効果ガス(以下「GHG」という。)の排出削減のみならず、日本経済を再度成長軌道へ戻す起爆剤としても、また資源の乏しい日本においてエネルギーの安定供給を図るためにも、日本企業の有する脱炭素技術の強みを活かし、化石エネルギー中心の産業構造・社会構造をクリーンエネルギー中心に転換する「グリーントランスフォーメーション」(以下「GX」という。)の加速が今注目されている。
GX実現に向けた施策を検討するため、2023年2月10日に「GX実現に向けた基本方針」[1](以下「ロードマップ」という。)が策定されており[2]、GX推進法は、それらに関する様々な施策を実施するための法整備の一つということができる。
2 政府によるGX推進戦略の策定
政府は、GXに関する施策を総合的かつ計画的に推進するために脱炭素成長型構造移行推進戦略(以下「GX推進戦略」という。)を定めなければならないこととされている(法6条1項)。
GX推進戦略について実務上注目すべき点として、GXに向けて高い政策効果を見込む事業分野に関する事項と、GXに向けた支援措置が記載される点等があげられる。GX推進戦略上で記載される特定の事業においては、税制上の優遇措置、補助金の導入といった施策の実施が見込まれ、事業者としては新規ビジネスの実施や検討に当たり非常に重要な項目となり、当該事業に関する法制度の新設や変更については注意が必要である。
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(みやがわ けんじ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業スペシャル・カウンセル弁護士。1997年慶應義塾大学法学部卒業。2000年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2004年ロンドン大学(University College London)ロースクール(LLM)修了。2019年から慶應義塾大学非常勤講師(Legal Presentation and Negotiation)。国内外の金融取引、不動産取引、気候変動関連法務および電子署名等のデジタルトランスフォーメーション関連法務を専門とする。
(ふじき・たかし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト弁護士。2007年東京大学法学部卒業。2009年東京大学法科大学院卒業。2010年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2018年ニューヨーク大学・ロースクール(LLM)修了(同年、ニューヨーク州司法試験合格)。2023年Best Lawyers in Japan選出。大手発電事業会社での出向経験を活かし、資源・エネルギー分野を中心とし、FIT/FIP(洋上風力案件・プロジェクトファイナンス案件を含む)、水素・アンモニア関連案件、コーポレートPPA案件(フィジカル・バーチャル含む)、発電所の工事・運営、電力卸取引、電力関係のスタートアップ支援等に従事している。
(くらの・まい)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2018年国際基督教大学教養学部卒業。2021年一橋大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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