SH4484 EUの対内直接投資規制とその実例 亀岡悦子(2023/06/12)

取引法務競争法(独禁法)・下請法

EUの対内直接投資規制とその実例

Atsumi & Sakai Europa

弁護士(ニューヨーク州弁護士会会員、ブリュッセル弁護士会準会員)
亀 岡 悦 子

 

 製薬分野におけるインドのEU市場への投資を始め、​航空機・特殊機械の製造への新たな欧州への対内海外直接投資が活発化し、欧州企業のAIや5Gネットワークなど新たなテクノロジー​開発への影響も話題になってから久しい。ロシア・ウクライナ紛争、巨大デジタル企業によるデータ漏洩リスクなどが発端になり、海外投資の公の秩序、安全保障へのインパクトがEUにおいて特に再認識されるようにもなった。そのため、EUレベルで最低限の基準を設け、対内直接投資についての情報交換を含む制度の確立が検討され、海外投資のスクリーニング審査を加盟国によって新設・整備・維持する枠組みを定めるEU規則(EC)2019/452が採択されている。規則(EC)2019/452は2020年から適用開始となり、公の秩序や安全保障の観点で懸念が生じ得る海外投資を事前に審査し、投資受入加盟国からの承認を義務付ける。

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(かめおか・えつこ)

弁護士(米国ニューヨーク州弁護士会会員、ベルギー王国ブリュッセル弁護士会準会員)。
慶応義塾大学法学部法律学科卒業、同大学法学研究科修士課程終了。同博士課程在籍中、パリ・ルボンヌ大学修士課程にてEU競争法を研究し、ニューヨーク大学ロースクールで法学修士号LL.M.を取得。欧州委員会競争総局で修習後、欧州大学院(ブルージュ)でEU競争法手続の研究。EU競争法における秘匿特権の研究で、ブラッセル自由大学から法学博士号を取得。フランス系、英国系法律事務所を経て、2001年からEU競争法弁護士としてブラッセルのバンバール・アンド・ベリス法律事務所に勤務。2022年、ジェラディン・パートナーズにてテクノロジー分野のEU競争法実務に携わった後、2023年から、渥美坂井法律事務所・欧州オフィスAtsumi & Sakai Europaパートナー。カルテル・支配的地位濫用審査での欧州委審査対応、企業結合届出、流通販売制度の設立、R&D・アライアンスなどの契約書の作成・見直し、知財ライセンス交渉、海外直接投資規制、外国補助金規制などEU競争法の全ての分野を扱い、コンプライアンスプログラムの作成やトレーニング、競争法違反に基づく損害賠償請求訴訟についても豊富な経験を有する。EU競争法の講演や著作も多い。

 

連絡先:渥美坂井法律事務所 フランクフルト提携事務所
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    OpernTurm (13th Floor) Bockenheimer Landstraße 2-4 60306 
         Frankfurt am Main  Germany

Email : etsuko.kameoka@aplaw.de

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