SH4487 経済産業省、「企業買収における行動指針(案)」にかかるパブリックコメントの受付を開始 佐橋雄介(2023/06/13)

組織法務M&A・組織再編(買収防衛含む)

経済産業省、「企業買収における行動指針(案)」にかかる
パブリックコメントの受付を開始

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 佐 橋 雄 介

 

1 はじめに

 経済産業省は、2023年6月8日、「企業買収における行動指針(案)(企業価値の向上と株主利益の確保に向けて)」[1](以下「買収行動指針案」という。)にかかるパブリックコメントの受付を開始した[2]

 買収行動指針案は、経済産業省内に設置された「公正な買収の在り方に関する研究会」(座長:神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授)(以下「本研究会」という。)における議論等を通じて取りまとめられたものであり、今般、広く国内外の関係者からの意見を募集するものである。意見の提出期限は、2023年8月6日である。なお、買収行動指針案の参考英訳(「Guidelines for Corporate Takeovers(Draft)」[3])も開示され、意見については、日本語のみならず英語での提出も受け付けている。

 

2 背景と趣旨

 経済産業省は、買収防衛策やMBO等について、その在り方やベストプラクティスを整理する指針および報告書を策定してきたが[4]、近年では、現行の指針では取り上げていない有事導入型の買収防衛策の発動やその差止めをめぐる司法判断が相次いだほか、当初の買収提案を契機に第三者から新たな選択肢(対抗提案)が提示されるケースも増加している。また、国内への投資よりも海外 M&A 投資が選好される傾向が見られ、さらには、上場会社を取り巻く社会経済状況にも変化が生じている。

 このような動向を踏まえ、経済産業省は、買収をめぐる両当事者にとっての予見可能性を向上させることや望ましい姿を示すこと等を通じ、企業価値を高める買収がより生じやすく(そうでないものは生じにくく)なるよう、2022年11月に本研究会を設置し、買収に関する当事者の行動の在り方等についての検討を行ってきた[5]

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(さはし・ゆうすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2006年東京大学法学部卒業。2008年弁護士登録。2015年University of Southern California(LLM)修了。2015-2016年フランスのMcDermott Will & Emery法律事務所勤務。2016年ニューヨーク州弁護士登録。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。主に国内外の企業買収、組織再編、ジョイントベンチャー等のM&A案件や一般企業法務、商取引等のコーポレート案件を取り扱っている。

 

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