「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」、今後の検討の方向性(案)についての意見募集を開始
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士・カリフォルニア州弁護士 井 上 乾 介
弁護士 佐々木 公 樹
1 はじめに
インターネットの普及およびスマートフォンなどの情報通信機器の普及により、個人がインターネット上で情報を発信し、また、他人の発信した情報を目にする機会は急速に増加している。それに伴い、インターネット上における誹謗中傷やプライバシー侵害の被害も、引き続き社会問題となっている。
インターネット上における誹謗中傷等の違法ならびに有害情報の流通の増加は、SNSなどの不特定多数者が情報を発信ならびに閲覧できるようなプラットフォームサービスの普及も一因となっているものと考えられている。このようなプラットフォームサービスは、誰もが容易に意見や情報を発信、拡散できる分、違法ならびに有害情報の流通も起こりやすく、被害も甚大化しやすいという性質を有している。プラットフォーム上におけるこのような被害への対処に当たっては、サービスを運営する事業者による対応が不可欠である。[1]
本稿では、昨今のインターネット上の誹謗中傷等に関する状況や従前の検討状況について紹介した後、総務省が事務局を務める「プラットフォームサービスに関する研究会」(以下「親会」という。)の下に設置された「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(以下「WG」という。)により公表され、現在意見募集に付されている「今後の検討の方向性(案)」(以下「方向性案」という。)について概観していく。
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(いのうえ・けんすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。
(ささき・こうき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2021年早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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