SH4511 個人情報保護委員会、生成AIサービスの利用に関する注意喚起等を公表 後藤未来/高羽芳彰(2023/06/23)

取引法務個人情報保護法

個人情報保護委員会、生成AIサービスの利用に関する
注意喚起等を公表

 アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 後 藤 未 来

弁護士 高 羽 芳 彰

 

1 はじめに

 個人情報保護委員会は、6月2日、「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」という文書(以下「本件文書」という。)を公表した。本件文書は、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を行うとともに、Chat GPTの開発や提供をするOpen AI社に対する注意喚起の概要を説明している。Chat GPTでの個人情報の利用に関しては、イタリアのデータ保護当局がChat GPTの使用の一時禁止を発表するなどし、各国のデータ保護当局が生成AIサービスと個人情報保護をめぐる懸念等にどのように対応をするのかに注目が集まっている。

 生成AIは、利用者が入力したデータを処理し、文章、画像などの生成物を出力するAIのことである。生成AIの開発では、大量のデータを用いた学習が行われ、Chat GPTのような文章生成AIでは、テキストデータから言語のパターンや構造などが学習される。そして、学習済みの生成AIに対し、利用者がプロンプト(生成AIに対する質問や指示等)を入力することで、プロンプトに応じた出力が得られる。

 このような生成AIサービスの基本的な仕組みを踏まえ、本件文書は、生成AIサービスを利用する場面における個人情報保護法上の注意点(下記2)と、(Chat GPTという特定のサービスに対してではあるが)これを開発する場面における同法上の注意点(下記3)について説明している[1]。以下、これらの内容を概観する。

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(ごとう・みき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。

 

(たかば・よしあき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2015年慶應義塾大学理工学部卒業。2017年慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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