新聞記事の社内イントラネットへの掲載につき著作権侵害を肯定し、著作権法114条3項に基づき損害賠償を算定した事例(知財高裁令和5年6月8日判決)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士・カリフォルニア州弁護士 井 上 乾 介
弁護士 中 島 滉 平
1 はじめに
知財高裁第一部は、2023年6月8日に「つくばエクスプレス」を運行する首都圏新都市鉄道株式会社(以下「被告」という。)が、日刊紙「東京新聞」を発行する中日新聞株式会社(以下「原告」という。)が発行した新聞の記事を無許諾で社内イントラネットに掲載した行為について、一審[1]同様、著作権侵害を認め、原告による損害賠償請求を一部認容した[2]。
本判決は、著作物の社内利用について、著作権侵害の成否や損害額等を判断したものであり、注目に値する。本稿では、事実経過をふまえつつ、一審および控訴審(本判決)の判断内容を紹介する。
2 事実経過
一審および控訴審の判決によれば、本件の事実経過はおおむね以下のとおりである。
日時 | 事実 |
2005年8月24日 |
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2005年9月頃 |
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2005年度 |
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2008年4月 |
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2012年度 |
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2019年4月16日~22日 |
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2019年5月28日 |
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2020年2月17日 |
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(いのうえ・けんすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。
(なかしま・こうへい)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2020年早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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