スチュワードシップ・コード改訂案の公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 塚 本 英 巨
弁護士 山 田 智 希
1 はじめに
2025年3月21日、金融庁は、「スチュワードシップ・コードに関する有識者会議(令和6年度)」(以下「本会議」という。)で取りまとめられた現行の「「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫」(以下「SSコード」という。)の改訂案[1](以下「本改訂案」という。)を公表し[2]、パブリックコメントの手続に付した。
本会議では、2024年6月に公表された「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024」を含む、直近のコーポレートガバナンスに関する動向も踏まえ、コーポレートガバナンス改革の実践に向けて機関投資家側に求められる行動原則のあり方について議論がなされてきた[3]。本改訂案は、そうした議論を踏まえ取りまとめられたものであり、機関投資家や機関投資家との対話を進める企業をはじめとする様々な関係者にとって注目すべき内容であるように思われる。
そこで本稿では、本改訂案の背景にある議論および本改訂案の概要について、簡単に整理することとする。
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(つかもと ひでお)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー弁護士
2003年東京大学法学部卒業、2004年弁護士登録。2010年~2013年に法務省民事局へ出向し、平成26年会社法改正の企画・立案を担当。また、2016年~公益社団法人日本監査役協会「ケース・スタディ委員会」専門委員、2017年~2022年経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システム(CGS)研究会(第2期・第3期)」委員、2019年~2021年経済産業省「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」委員、2024年経済産業省「『稼ぐ力』の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会」委員。主に、M&A、取締役会改革・株主総会対策をはじめとする会社法およびコーポレート・ガバナンス、紛争対応を扱う。
(やまだ・ともき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所シニア・アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。文部科学省勤務を経て、2018年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2024年英国King’s College London, University of London (LL.M.)。コーポレートガバナンス・グローバルコンプライアンス、国内外のM&A・組織再編のほか、宇宙・航空・海洋分野を中心とする国際法・国際取引法関連や地方自治体関連案件に積極的に取り組んでいる。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
<連絡先>
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