個人情報委、改正個人情報保護法の施行状況
(個人情報取扱事業者等への監督状況)を議題とした
第258回個人情報保護委員会を開催
岩田合同法律事務所
弁護士 池 田 美奈子
1 はじめに
個人情報の保護に関する法律(以下「個情法」という。)は、令和2年及び令和3年に改正され、令和2年改正法は令和4年4月1日までに、令和3年改正法は令和5年4月1日までにそれぞれ全面施行された。令和5年10月18日に開催された第258回個人情報保護委員会では、改正個情法の施行状況のうち、個人情報取扱事業者等及び行政機関等に対する監督及び監視が議題とされた[1]。本稿では、当該委員会における配布資料(以下「本資料」という。)に基づき、個人情報保護委員会(以下「委員会」という。)による個人情報取扱事業者等に対する監督の状況について概説する。
2 監督の状況(令和4年度)
令和4年度における個人情報取扱事業者等に対する監督の状況は下表のとおりである。
対応事項 | 件数(令和4年度) |
漏えい等事案に関する報告 | 7,685件 (内訳) 委員会直接受付分:4,217件(うち域外適用分:8件) 委任先省庁経由分:3,468件 〔参考〕任意の報告等:837件(※1) |
報告徴収 | 176件 (内訳) 委員会実施分:81件 委任先省庁実施分:95件(※2) |
立入検査 | 26件(※3) (内訳) 委員会実施分:1件 委任先省庁実施分:25件(※4) |
指導及び助言 | 115件 (うち域外適用分:0件) |
勧告 | 1件 |
命令 | 1件 |
(※1)法令上報告が義務付けられていないものの任意に報告がなされたものや、速報提出後に法令上の報告義務対象ではないことが明らかになったもの等を計上しており、「7,685件」の外数である。
(※2)委任先省庁実施分は、業法に基づく計画検査等と合わせて実施されたものである。
(※3)立入検査の件数は、立入検査開始日を基準として計上している。
(※4)委任先省庁実施分は、業法に基づく定期検査と合わせて実施されたものである。
出典:個人情報保護委員会(第258回)資料1の1頁の表
次項以下では、漏えい等事案に関する報告及び委員会による指導等を中心に説明する。
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(いけだ・みなこ)
岩田合同法律事務所アソシエイト。日本及び米国(NY州)弁護士。2007年東京大学法学部卒業。2009年University of Michigan Law School修了(LL.M.)。2010年早稲田大学法科大学院修了。約4年間、海事専門法律事務所に所属し、海事案件の経験も豊富に有する。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
<連絡先>
〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)
関連リンク
個人情報委、個人情報保護委員会(第258回)資料〔改正個人情報保護法の施行状況について②監督・漏えい等事案・指導等の状況〕
https://www.ppc.go.jp/aboutus/minutes/2023/20231018/