SH4746 経産省、産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会 製品安全小委員会におけるネット販売製品の事故・リコールの課題と対応における今後の取り組みの方向性(案)について 井上乾介/伊藤雄太(2023/12/21)

取引法務消費者法

経産省、産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会 製品安全小委員会におけるネット販売製品の事故・リコールの課題と対応における今後の取り組みの方向性(案)について

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士・カリフォルニア州弁護士 井 上 乾 介

弁護士 伊 藤 雄 太

 

1 はじめに

 経済産業省の産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会 製品安全小委員会(以下「本委員会」という。)は、2023年11月27日に第12回委員会を開催した。   

 本委員会では、第11回委員会[1]で議論された①海外からの直接販売等を通じた製品の安全確保②子ども用製品についての事故の未然防止についての指摘事項の取りまとめおよびそれを踏まえた今後の取り組みの方向性についての案が示されたので、本稿ではその概要を紹介する。

 

2 海外からの直接販売等を通じた製品の安全確保について

 ⑴ 指摘事項

 第11回委員会では主に以下の指摘事項があった。

 

論点 指摘事項
海外から直接販売をする事業者の規制対象としての位置づけ
  1. ・ 国内の製造・輸入事業者だけが規制の対象というのは時代にそぐわない。
  2. ・ 国内に責任者が存在しない場合における責任の所在を明確化することが重要。
  3. ・ 実態把握が必要である。
国内に必要な措置をとる者の設置
  1. ・ EUのように日本においても国内に責任者の設置を義務付けるなどの規制が必要。
インターネットモール等を通じて販売される製品への対応について
  1. ・ 大手インターネットモール運営事業者の自主的取組である製品安全誓約(Pledge)は評価するがその他事業者でも履行されるかが問題。
  2. ・ 注意喚起メール等の取り組みから始める。
  3. ・ 製造事業者、海外事業者の情報を消費者に開示することも必要ではないか。
  4. ・ 自主的取組をしているところから買うというインセンティブもあるため、規制ありきの議論にすべきではない。
その他
  1. ・ 事業者等の届出情報を迅速・容易に確認できる、検索の容易な仕組みは必要。
  2. ・ 事故が起きた際に事業者の連絡のため国内代理人の連絡先等の掲 載を義務づけることが必要。
  3. ・ 国内に責任者が存在しない場合の責任の所在の明確化。

資料1「前回の主な御指摘事項/ 制度措置及び取組の方向性(案)」[2](経済産業省)3~4頁を参照

 

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(いのうえ・けんすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。

 

(いとう・ゆうた)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。2019年東京大学法科大学院卒業。2020年弁護士登録(第一東京弁護士会)。

 

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