SH3939 金融法委員会、グローバル・カストディサービスに係る論点整理の公表 田中智之(2022/03/15)

組織法務監査・会計・税務

金融法委員会、グローバル・カストディサービスに係る
論点整理の公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 田 中 智 之

 

1 グローバル・カストディサービスについて

 一般に、グローバル・カストディサービスとは、各国の有価証券の保管管理業務を一元的に提供するサービスである。グローバル・カストディアンである金融機関は、各国のサブ・カストディアンである現地銀行と提携することで、全世界的な有価証券の管理を可能にしている。グローバル・カストディサービスは、国債分散投資の進展により、他通貨での有価証券管理を包括的に行うことができ、投資家ニーズに対応することで、その業務範囲やサービス内容も拡充している[1]

 グローバル・カストディサービスは、提供する金融機関により、また、利用する顧客のニーズにより、様々なサービスがあるが、典型的には、以下のようなものが想定される[2]

  1. ① グローバル・カストディアン(以下「GC」という。)は、本邦外で設立された金融機関である。
  2. ② GCの顧客(以下「GC顧客」という。)には、本邦内外の機関投資家が含まれる。
  3. ③ グローバル・カストディサービスは以下のように提供される。
    1. (ⅰ)  GCはGC顧客との間で、グローバル・カストディサービスに関する契約(Global Custody Agreementなどと称される、以下「GCA」という。)を締結する。
    2. (ⅱ)  GCは、GCAに基づき、GC顧客のために有価証券を保管・記帳するsecurities accountと金銭の預かりにかかるcash accountを開設し、所定の有価証券・金銭を預かり、管理する。
    3. (ⅲ)  GCAにおいて、GCは、GC顧客の預り有価証券の保管、管理、決済等に関して必要な場合、各国において、現地カストディアン(sub-custodianやlocal-custodianなどという、以下「SC」という。)の選任やcentral securities depository(以下「CSD」という。)の利用が許容される。これに基づき、GCは、各SCとの間でカストディ契約を締結し、各国における CSDを通じた有価証券の管理を行う(図1参照)。

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(たなか・ともゆき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。2006年東京大学法学部卒業。2008年東京大学法科大学院卒業。2009年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2016年ペンシルベニア大学・ロースクール(LLM with Wharton Business and Law Certificate)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。銀行法・金融商品取引法・保険業法等の金融規制法に関連する業務に主に従事している。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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