SH4754 農林水産省、農地法施行規則の一部改正案および営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン案についての意見・情報の募集を開始 宇田川法也/藤木崇/香川遼太郎(2023/12/26)

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農林水産省、農地法施行規則の一部改正案および営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン案についての意見・情報の募集を開始

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 宇田川 法 也
弁護士 藤 木   崇
弁護士 香 川 遼太郎

 

1 はじめに

 農林水産省は、令和5年12月4日、「農地法施行規則の一部改正案」(「本改正案」)および「営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン案」(「本ガイドライン案」)についてパブリックコメントの募集を開始した 。

 本稿では、本改正案の概要および本改正案に伴い新たに制定される予定である本ガイドライン案の概要について解説する。

 

2 本改正案および本ガイドライン案制定の経緯

 営農型太陽光発電とは、農地に簡易な構造でかつ容易に撤去できる支柱を立て、上部空間に太陽光発電設備を設置し、営農を継続しながら発電を行うものを指し、太陽光を農業生産と発電とで共有する取組みである。作物の販売収入に加え、売電による収入や発電電力の自家利用により、農業者の収入拡大による農業経営のさらなる規模拡大が期待できるとされている 。

 営農型太陽光発電を行う場合には、支柱部分について、農地法4条1項または5条1項に基づく農地の一時転用許可を要することとされ、農林水産省により「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」(平成30年5月15日付30農振第78号農林水産省農村振興局長通知)(「旧通知」)において、営農型太陽光発電に係る一時転用許可の基準等の詳細が示されることを通じた運用がなされていた。このような状況の下で営農型太陽光発電事業は一定の広がりを見せていたところ、発電に重きを置き営農がおろそかにされ、営農型太陽光発電設備の下部の農地の利用に支障が生じている事例が散見されることも問題視されてきた。このような昨今の状況を踏まえ、営農型太陽光発電に係る農地の一時転用に関する許可基準等について、農地法施行規則に新たに規定を設けることとし、さらに営農型太陽光発電に関する許可基準等の内容その他営農型太陽光発電の実施に係る具体的な考え方や取扱いにかかる事項について旧通知に代わるガイドラインを新たに制定するとして、本改正案および本ガイドライン案がパブリックコメントに付された。

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(うだがわ・のりや)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2004年東京大学法学部卒業。2006年東京大学法科大学院卒業。2007年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2016年University of California, Los Angeles School of Law (LLM)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。ストラクチャード・ファイナンス、プロジェクト・ファイナンス、PPP/PFI、ファンド取引等の金融取引を幅広く取り扱っており、資源・エネルギー分野においては、再生可能エネルギー発電事業に関するスキーム構築、契約交渉等に関与し、豊富な経験を有している。

 

(ふじき・たかし)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト弁護士。2007年東京大学法学部卒業。2009年東京大学法科大学院卒業。2010年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2018年ニューヨーク大学・ロースクール(LLM)修了(同年、ニューヨーク州司法試験合格)。2023年Best Lawyers in Japan選出。大手発電事業会社での出向経験を活かし、資源・エネルギー分野を中心とし、FIT/FIP(営農型案件、洋上風力案件・プロジェクトファイナンス案件を含む)、水素・アンモニア関連案件、コーポレートPPA案件(フィジカル・バーチャル含む)、発電所の工事・運営、電力卸取引、電力関係のスタートアップ支援等に従事している。執筆として「非化石証書の制度と実務」(NBL2023年11月1日号)等。

 

(かがわ・りょうたろう)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。執筆として「非化石証書の制度と実務」(NBL2023年11月1日号)等。

 

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<事務所概要>
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