SH4759 経産省、「外国公務員贈賄防止指針(改訂案)」内容を公表、意見公募開始 西野雅人(2024/01/09)

取引法務競争法(独禁法)・下請法

経産省、「外国公務員贈賄防止指針(改訂案)」内容を公表、意見公募開始

岩田合同法律事務所

弁護士 西 野 雅 人

 

1 はじめに

 経済産業省は、令和5年12月14日、外国公務員贈賄防止指針(以下「本件指針」という。)の改訂案に関する意見公募を開始した。本件指針は、平成16年の不正競争防止法改正により、海外で日本国民が外国公務員に対する賄賂の申込みや供与などを行った場合でも刑事処罰の対象とされたことに伴い、企業の外国公務員贈賄防止に関する自主的・予防的なアプローチを支援する目的から作成されたものである[1]

 今般、令和5年6月14日に外国公務員贈賄に対する罰則の強化等が盛り込まれた「不正競争防止法等の一部を改正する法律」(当該法律による改正後の不正競争防止法を以下「改正法」という。)が公布されたことを受け、経済産業省は、本件指針を改訂することとした(当該改訂案を以下「本改訂案」という。)[2]。以下では本改訂案のうち、特に法人の責任に関する部分の概要について紹介する。

 

出典:経済産業省『外国公務員贈賄防止指針のてびき』2頁

 

2 海外子会社・支店の従業員による贈賄行為について

 改正法は、外国公務員贈賄罪の法定刑を引上げるとともに、外国公務員贈賄罪の処罰対象を、日本法人(以下「国内法人」という。)の外国籍の従業者が、当該法人の業務に関し、国外で贈賄を行った場合にまで拡大しているところ(改正法21条4項4号、同条11項)、どのような場合に両罰規定(改正法22条1項)によって、国内法人が処罰され得るかについて、改訂案で明確化している。

この記事はプレミアム向け有料記事です
続きはログインしてご覧ください

(にしの・まさと)

岩田合同法律事務所所属。2012年中央大学法学部卒業。2014年日本大学法科大学院修了。2017年12月検事任官。大阪地方検察庁、さいたま地方検察庁川越支部、千葉地方検察庁、東京地方検察庁勤務を経て、2023年4月「判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」に基づき弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>
〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)


経産省、「外国公務員贈賄防止指針(改訂案)」に対する意見募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595223068&Mode=0

「外国公務員贈賄防止指針」の改訂概要
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000264566

タイトルとURLをコピーしました