SH4816 欧州委、医薬品分野におけるEU競争法・企業結合規制の執行状況に関する報告書(2018-2022年)を公表 臼杵善治(2024/02/16)

取引法務競争法(独禁法)・下請法

欧州委、医薬品分野におけるEU競争法・企業結合規制の
執行状況に関する報告書(2018-2022年)を公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 臼 杵 善 治

 

1 本報告書の概要

 欧州委員会は、本年1月26日に「医薬品分野におけるEU競争法・合併規則の施行状況に関する報告書」(以下、「本報告書」という。)を公表した[1]。本報告書は、2018年から2022年にかけての欧州委員会および各国競争当局(以下、「NCA」という。)(以下、欧州委員会とNCAを併せて「欧州競争当局」という。)による医薬品分野におけるEU競争法および企業結合規制の執行の概要を示すのみではなく、該当期間のEU競争法違反事例を豊富に引用しており、どのような行為がEU競争法違反行為となるかを理解するうえで参照価値が高い報告書であると考えられる[2]。紙幅の関係もあり、ここでは、欧州における近時の競争法執行状況の概要を紹介する。

 

2 医薬品分野における競争法執行状況の概要

⑴ EU競争法の執行状況

 2018年から2022年の間に、欧州委員会と12のNCAは、医薬品に関連する競争法の調査において、26件の決定(違反認定または確約手続)を行った。26件の決定の概要は以下の通りである。

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(うすき・よしはる)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2003年慶應義塾大学法学部卒業。2006年慶應義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(第一東京)。2015年University of London, LL.M. in Competition Law修了。
公正取引委員会による審査手続対応、海外当局による調査手続対応、国内外の競争法当局に対する企業結合届出のサポート、競争法コンプライアンスマニュアル作成・競争法コンプライアンストレーニング、流通取引規制に関するアドバイス、景品表示法対応等の多数の案件を取り扱っている。

 

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