個人情報保護委員会、令和2年改正個人情報保護法対応 Q&Aを公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士 沢 崎 敦 一
1 はじめに
令和3年9月10日、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等に関するQ&Aのアップデート版(以下「令和3年9月10日更新Q&A」)が、個人情報保護委員会(以下「委員会」)から公表された[1]。令和3年9月10日更新Q&Aは現時点では未施行であり、令和2年改正法の施行と同時に施行される予定である。
この令和3年9月10日更新Q&Aは、令和2年改正個人情報保護法の施行に向けた準備作業の一環として準備されたものであり、更新された箇所のほとんどは上記改正に関連する更新である。しかし、現行法の解釈に関係する重要な更新もいくつか含まれている。そこで、以下では、現行法の解釈に関係する更新のうち、筆者が興味深いと思ったポイントを説明する。
- * なお、本稿の脱稿後、令和3年9月30日に、現行のQ&Aが更新され、令和3年9月10日更新Q&Aで示された現行法の解釈に関する更新が反映された。
2 防犯カメラ等のカメラ映像に関連する更新
今回の更新では、防犯カメラ等のカメラ映像に関連するQ&Aについて若干のアップデートがある。
たとえば、現行Q&A[2]では、防犯カメラを設置して、防犯目的のみのために撮影する場合、「取得の状況からみて利用目的が明らか」であることから、利用目的の通知・公表は不要であると整理されているが(現行Q&A1-11)、文言上、この整理は、防犯カメラのカメラ映像から抽出された顔認証データを防犯目的で利用する場合にも当てはまると読む余地がある。しかし、令和3年9月10日更新Q&Aでは、顔認証データを取り扱うか否かで場合分けをし、顔認証データを取り扱わない従来型の場合は「取得の状況からみて利用目的が明らか」であるとの整理が当てはまるが、顔認証データを取り扱う場合は、「取得の状況からみて利用目的が明らか」であるとは言えないため、個人情報の利用目的を特定して、あらかじめ公表するか、個人情報の取得後に速やかに本人に通知しまたは公表する必要があることが明確にされた(令和3年9月10日更新Q&A1-12)。
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(さわさき・のぶひと)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。1999年3月東京大学法学部卒業、2001年弁護士登録(54期)。データプライバシー法務、労働法務を中心に、企業法務全般を広く取り扱う。データプライバシー法務に関しては、業界の指針の作成・改正に携わったほか、金融機関、共通ポイントプログラム運営事業者、Eコマース事業者を中心に国内外のクライアントに対し多数の案件についてアドバイスをしている。
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