個人情報委、「株式会社四谷大塚に対する個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について」を公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 龍 野 滋 幹
弁護士 安 藤 翔
1 はじめに
個人情報保護委員会(以下、「個人情報委」という。)は、2024年2月29日、株式会社四谷大塚(以下、「本件会社」という。)に対し、個人情報の保護に関する法律(以下、「個情法」という。)147条に基づく指導を行った上、同法146条1項に基づき当該指導にかかる改善状況の報告要求を行った(以下、「本件指導等」という。)。
2 本件指導等の理由となった事案の概要
本件は、中学受験のための学習塾を運営する本件会社において、2022年4月から2023年8月まで講師として勤務していた元従業員(以下、「元講師」という。)が、在職中に、本件会社が業務システム上で管理する在校児童の個人データを検索して閲覧し、自身の私用のスマートフォンに入力して記録し、6人分の個人データ(氏名、年齢、生年月日、住所、所属小学校名および電話番号)を、その写真および動画とともに自身のSNSアカウントに送信・投稿して漏えいさせた事案である。
元講師は、個人情報保護法違反を含む複数の罪状で起訴され、2024年3月11日現在、公判中である[1]。他方で、本件会社は、両罰規定(個情法184条1項1号)に基づき、検察庁に対して書類送検がなされたが、2023年12月14日付けで不起訴となった[2]。
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(たつの・しげき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2000年東京大学法学部卒業。2002年弁護士登録(第二東京弁護士会)、当事務所事務所入所。2007年米国ニューヨーク大学ロースクール卒業(LL.M.)、2008年ニューヨーク州弁護士登録、2007年~2008年フランス・パリのHerbert Smith法律事務所にて執務。2014年から東京大学大学院薬学系研究科・薬学部「ヒトを対象とする研究倫理審査委員会」審査委員。国内外のM&A、ジョイント・ベンチャー、投資案件やファンド組成・投資、AI・データ等の関連取引・規制アドバイスその他の企業法務全般を取扱っている。週刊東洋経済2020年11月7日号「「依頼したい弁護士」分野別25人」のM&A・会社法分野で特に活躍が目立つ2人のうち1人として選定。
(あんどう・しょう)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2010年早稲田大学法学部卒業。2013年慶應義塾大学法科大学院卒業。2014年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2019年~2020年に米国ニューヨークの大手総合商社・コンプライアンス部門に出向。2022年University of Virginia(LL.M)卒業。経営法曹会議会員。使用者側の労働法務を中心に個人情報保護法等の領域も取り扱い、国内外のクライアントに対し、多数のアドバイスを行っている。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
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