SH4874 中国:【速報】個人情報の越境移転の規制緩和(上)――データの越境移転の促進および規範化規定の施行 川合正倫/艾蘇(2024/04/01)

取引法務個人情報保護法

中国:【速報】個人情報の越境移転の規制緩和(上)
~データの越境移転の促進および規範化規定の施行~

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 川 合 正 倫

外国法弁護士 艾     蘇

 

はじめに

 2024年3月22日に、昨年9月のパブコメ版の公表から[1]、個人情報およびデータの越境移転の規制を緩和するものとして施行が待たれていた「データの越境移転の促進および規範化規定」(以下「本規定」という。)が正式に公布され、同日より施行された[2]

 本規定では、パブコメ版と同様に、中国域内で収集した個人情報を含むデータを域外移転させるために必要とされている①主管当局による安全評価(以下「安全評価」という。)、②専門機構による認証(以下「保護認証」という。)、または③主管当局所定の標準契約の締結(以下「標準契約」といい、①および②と総称して「事前手続」という。)が不要となる場面を明確に定めており、個人情報を含むデータの中国域内からの越境移転に関して、外資企業等からの強い要望も踏まえ、手続の合理化および実務上の負担の軽減が図られている。

 本規定は、パブコメ版と比較して、事前手続の免除要件について1年以内に越境移転する個人情報の量を1万人未満と見込む場合という要件に代わり当年の1月1日から越境移転した個人情報(センシティブ個人情報を含まない[3])の累計量が10万人未満である場合という、更に緩和された要件が定められた点が比較的大きな変更点となる。また、本規定では主管当局による安全評価が求められる要件も変更された。これを受け、安全評価の申告に関するガイドラインおよび標準契約の届出に関するガイドラインについても、同日付けでそれぞれ第二版が公表され、データの越境移転に関連する規制が全面的に整備されたものと評価できる[4]

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(かわい・まさのり)

長島・大野・常松法律事務所上海オフィス一般代表。2011年中国上海に赴任し、2012年から2014年9月まで中倫律師事務所上海オフィスに勤務。上海赴任前は、主にM&A、株主総会等のコーポレート業務に従事。上海においては、分野を問わず日系企業に関連する法律業務を広く取り扱っている。クライアントが真に求めているアドバイスを提供することが信条。

 

(Su・Ai)

2017年九州大学法学部交換留学。2018年華東政法大学法学部及び日本語学部卒業。2022年東京大学大学院法学政治学研究科卒業、長島・大野・常松法律事務所入所。日中間の法律業務を中心に、クロースボーダー取引、企業再編、紛争解決等、幅広い分野で法務サポートを行っている。

(※中国での律師登録は行っていません。)

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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