タイ:個人データの域外移転に係る下位規則の制定(上)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 中 翔 平
1 はじめに
タイの個人情報保護法(以下「PDPA」という。)には、データ管理者が個人データを国外の受領者に移転する(いわゆる域外移転)方法がいくつか規定されているが、その具体的内容の多くは、下位規則に委ねられていた。2023年12月25日に個人データの域外移転に関して二つの下位規則(以下、個別にまたは総称して「本下位規則」という。)が制定された。域外移転に関する下位規則の草案は2022年9月に一度公表され、パブリックヒアリングに諮られた後、進展がなかったが(内容の大幅な変更と共に)今般ようやく制定に至った。本下位規則は、2024年3月24日に施行されている。タイの日系現地法人においては、自ら取得した個人データを親会社である日本・シンガポール等に移転する場合が想定され、実務上の意義が大きいと考えられるため、本稿ではその概要を説明する。
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(なか・しょうへい)
2013年に長島・大野・常松法律事務所に入所。プロジェクトファイナンス、不動産取引、金融レギュレーション及び個人情報保護の分野を中心に国内外の案件に従事。2020年5月にUniversity of California, Los Angeles School of Lawを卒業後、2020年12月より当事務所バンコク・オフィスに勤務。現在は、主に、在タイ日系企業の一般企業法務及びM&Aのサポートを中心に幅広く法律業務に従事している。
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