米FTC、競業避止義務を禁止する規則を発表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 臼 杵 善 治
1 はじめに
米国の連邦取引委員会(Federal Trade Commission)(以下「FTC」という。)は、2024年4月24日、雇用主が労働者に対し、競業避止義務(Non-compete)を課すことを禁止することで、労働者の基本的な転職の自由を保護し、イノベーションを促進し、新規事業の創出を促進することを目的とする新たな規則(以下「本規則」という。)を発表した[1][2]。
競業避止義務を課して一定期間競合会社への転職等を防ぐことは、退職者の役職のレベルにもよるものの、これまで一般的に行われていた慣行であるところ、今回発表されたFTCの本規則では、雇用主が労働者と競業避止義務条項を含む契約を締結し、競業避止義務を強制することは、不公正な競争方法でありFTC法5条[3]に違反するとの見解が示された。これにより、従前の一般的な慣行が違法となる可能性が生じ実務について大きな影響を与える可能性があると考えられる。このように、実務影響が大きいため、海外法令の動きではあるものの、日本企業の関心も高い、FTCの本規則の概要を紹介する。
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(うすき・よしはる)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2003年慶應義塾大学法学部卒業。2006年慶應義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(第一東京)。2015年University of London, LL.M. in Competition Law修了。
公正取引委員会による審査手続対応、海外当局による調査手続対応、国内外の競争法当局に対する企業結合届出のサポート、競争法コンプライアンスマニュアル作成・競争法コンプライアンストレーニング、流通取引規制に関するアドバイス、景品表示法対応等の多数の案件を取り扱っている。
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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