シンガポール:被用者への退職後の競業避止義務(Non-Compete Clause)に関する最新の議論状況(下)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 金 田 聡
2 Shopee判決
⑴ 判決の概要
この裁判においては、原告であるShopeeが、被告である元従業員(2015年8月から2023年8月までShopeeに在籍)が、2023年9月から、同月にEコマースプラットフォームであるTikTok Shopを新規に立ち上げたByteDanceに転職したことを理由として、競業避止義務違反を主張した。
原告と被告は、2015年8月の雇用開始時にRestrictive Covenants Agreement(RCA)を締結しており、RCA上、退職後12ヵ月の間、所定の制限地域(Restricted Territories)において競合他社(Competitor)への転職その他競合他社との事業活動を禁止する競業避止義務が規定されていた(本競業避止義務条項)。なお、上記の「競合他社」は、RCA上、大要、「制限地域」(=当該従業員が職責を負う又は機密情報に接する地域)において、Shopeeグループが行う事業活動のうち当該従業員が退職前の12ヵ月間に従事した業務と同種の業務を行う者と定義されている。
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(かねだ・さとし)
長島・大野・常松法律事務所シンガポールオフィス所属。2012年京都大学法学部卒業、2014年京都大学法科大学院修了、2015年長島・大野・常松法律事務所入所。その後、2022年University of Pennsylvania Law School修了(LL.M. with Wharton Business & Law Certificate)、Shearman & Sterling LLP(NY)勤務を経て、2023年10月よりシンガポールオフィス勤務。入所以来、M&A・企業組織再編に携わっており、現在は、アジア地域を中心とするクロスボーダーM&A・ジョイントベンチャー案件その他国際企業法務に広く従事している。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
長島・大野・常松法律事務所は、約500名の弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。
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