欧州議会、強制労働によって製造された製品のEUにおける販売および輸出入の禁止を可能にする新規則を採択
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 藤 田 将 貴
弁護士 山 下 舞
1 はじめに
欧州議会は、2024年4月23日、強制労働によって製造された製品(以下「強制労働製品」という。)のEU域内における販売および輸出入を禁止することを可能にする新規則(以下「本規則」という。)を採択した(以下「本採択」という)。
これにより、加盟国当局または欧州委員会による調査の結果、強制労働製品に該当すると判断された場合、オンラインマーケットプレイスを含むEU市場において同製品を販売することができなくなるとともに、EU域外への輸出が禁止される[1]。
本規則は、原産地やセクターを限定しておらず、また、EU市場に製品を流通させ、またはEU域外に輸出する、中小企業を含むあらゆる規模の事業者を規制対象としている。そのため、EUで事業を営む日本企業はもちろんのこと、EU向けに製品を販売する日本企業、EU域内の企業から製品を購入している日本企業等にも影響を与えることが予想される。
以下では、本採択の経緯、本規則の内容および今後の見通しについて概観する。
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(ふじた・まさき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2003年早稲田大学法学部卒業。2006年京都大学法科大学院修了。2007年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年University of California, Berkeley(LLM)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。大手総合商社法務部への出向経験を有する。国内外の経済安全保障・通商、M&A、事業再生分野を中心に取り扱う。主な著書・論文:『英文M&Aドラフティングの基礎』(共著)(金融財政事情研究会、2023)、「米国の経済制裁の基礎知識と実務対応のポイント」(Business Lawyers(ウェブサイト)、2022)、「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度を創設する法案の閣議決定」(商事法務ポータル、2024)、「欧州委、経済安全保障を強化するための5つのイニシアチブを公表」(商事法務ポータル、2024)、「米国による懸念国向け半導体関連輸出規制の強化」(商事法務ポータル、2023)、「米財務省 CFIUS2022年次報告書を公表」(商事法務ポータル、2023)、「米財務省、マネーロンダリング防止法および制裁法違反によりバイナンスと合計約43.7億ドルの制裁金支払いで和解」(商事法務ポータル、2023)、「グローバル法務 日本企業が留意すべき個人情報保護、ビジネスと人権、経済安全保障に関する各国の法規制や動向」(共著)会社法務A2Z 2024年2月号ほか多数。
(やました まい)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2019年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2021年慶應義塾大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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