米商務省(BIS)、迂回リスクのある企業等への対処に関するガイダンスを公表[1]
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 藤 田 将 貴
弁護士 高 野 聖 也
1 はじめに
米国商務省産業安全保障局(BIS)は、2024年7月10日付で、輸出管理規則(EAR)の執行を強化する観点から、規制対象者リストに掲載されていないものの迂回リスクのある企業(いわばグレーゾーン企業)等につき、民間企業や大学等の研究機関に通知すること等を内容とするガイダンス(以下「本ガイダンス」という。)[2]を発表した。
本ガイダンスは、主として、迂回リスクのある企業等についての適切なスクリーニングを促進するためにBISがこれまで実施してきた取組みについて改めて周知するものであるが、これらの企業等との取引に関して求められる対応、特にレッドフラッグが認められる企業との取引における留意点について明記するとともに、共通高度優先品目リスト(Common High Priority List : “CHPL”)[3]上の品目(以下「CHPL品目」という。)に関するスクリーニングの新たなベストプラクティスも示している。そのため、米国の輸出規制品目を取り扱う日本企業にとって重要な内容といえる。
以下では、本ガイダンスの内容等について概説する。
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(ふじた・まさき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2003年早稲田大学法学部卒業。2006年京都大学法科大学院修了。2007年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年University of California, Berkeley(LLM)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。大手総合商社法務部への出向経験を有する。経済安全保障・通商(米国・英国・EUの経済制裁及び貿易管理を含む)、M&A、事業再生分野を中心に取り扱う。主な著書・論文:『英文M&Aドラフティングの基礎』(共著)(金融財政事情研究会、2023)、「米国の経済制裁の基礎知識と実務対応のポイント」(Business Lawyers(ウェブサイト)、2022)、「米国による懸念国向け半導体関連輸出規制の強化」(商事法務ポータル、2023)、「米財務省 CFIUS2022年次報告書を公表」(商事法務ポータル、2023)、「米財務省、マネーロンダリング防止法および制裁法違反によりバイナンスと合計約43.7億ドルの制裁金支払いで和解」(商事法務ポータル、2023)、「新たなセキュリティ・クリアランス制度の法制化に向けた議論の方向性」(商事法務ポータル、2023)、「グローバル法務 日本企業が留意すべき個人情報保護、ビジネスと人権、経済安全保障に関する各国の法規制や動向」(共著)会社法務A2Z 2024年2月号ほか多数。
(たかの・せいや)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2020年慶應義塾大学法学部卒業。2022年東京大学法科大学院卒業。2023年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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